「逆に外を散歩するなどの際、紫外線や強い日光を感じやすくなると思います。動物は体から発汗することができないので、外気温と皮膚の間に毛のクッションがないと皮膚の温度が高まりやすい。見た目は涼しそうですけどね」(小林院長、以下同)
毛が生えてこなくなる病気の可能性も
涼しいどころか、ペットに対してダメージになる可能性もあるというのだ。それ以外の弊害についても、
「毛を刈った後、被毛が生えてこなくなる『毛刈り後脱毛症』という病気にかかる可能性もあります。トイプードルなど、刈っていかないと毛が伸びてしまう犬種は問題ないのですが、毛の長さが一定の犬種、例えば柴犬やポメラニアンといった犬はそのまま毛が伸びてこなくなることもあります」
獣医師という立場から“サマーカット”はどう見えているのか?
「皮膚病などの治療目的以外、刈る必要性はあまり感じませんね。ケースによっては先ほどお話しした脱毛症もそうですし、これからの季節、熱中症といった病気を引き起こすリスクがゼロではないので。医師からサマーカットを提案することは、あまりないと思います」
唯一、メリットを感じる皮膚病の治療についても、
「毛を刈るよりも定期的にシャンプーをするなど、スキンケアをしてあげるほうが皮膚の衛生面ではいいですね」
とのこと。“サマーカット”という言葉から、「暑い夏をペットが快適に過ごせる」ということを連想してしまうが、実はそうではなさそう。毛を刈られたブリュレが、心なしか悲しい顔をしているように見えるのは、気のせい!?