7月28日にパリ五輪の柔道女子52キロ級の2回戦が行なわれ、東京五輪から連覇を狙った阿部詩選手(24)が世界ランク1位のディヨラ・ケルディヨロワ(ウズベキスタン)に一本負け。金メダル大本命だった阿部の敗北に、日本中に衝撃が走った。
小外刈りで敗北した阿部は、まさかの事態にあ然とした表情を浮かべ、一時場内に座り込む。退場した後、会場に響き渡るほど泣き叫ぶ姿が映し出された。その姿に視聴者からは、阿部へのエールとともに、負けた後の阿部の行動に疑問の声も聞かれた。
《負けて悔しいのは分かりますが、後の選手を待たせてまでその場で泣き崩れるのは反省ですね》
《柔道家の精神を忘れないで欲しい、負けた後の態度が大事だよ》
《わからなくもないが、大人なんだから「いやー」って泣き続けてそこに立ち止まっているわけにはいかない》
対戦相手であるディヨラ・ケルディヨロワは、勝敗がついた後、大きく喜ぶことなく泣き崩れる阿部を静かに見ていた。そんな様子が世間の違和感となったのでは、とスポーツ紙記者は語る。
大本命と言われるプレッシャー
「柔道は体だけでなく心も鍛えるスポーツ。常に自分を律し、相手に敬意を払うことが求められるのが柔道の教えです。今回は海外の選手の方が冷静沈着だった。悔しさが滲み出た阿部の様子は、より柔道精神とはかけ離れたものに映ってしまったのでしょう」
"令和のYAWARA"と言われている阿部。かつて、96年アトランタオリンピックで大本命であった谷亮子が、負けて銀メダルとなった時のシーンと重なるとも指摘する。
「アトランタオリンピック当時、谷さんは若干20歳、2度目のオリンピックでした。金メダル確実と言われていましたが、まさかの敗北で銀メダルに。その時の彼女は、結果を受け入れることができなかったそうですが、最終的には《あの時の私の実力では金メダルを獲るのはまだ早かったような気がします。相手の方が実力が上でした》と当時のインタビュー記事で語っています。谷さんの精神力も負けたことで培ったものも大きいかったでしょう。阿部選手も今回の"負け"も何か意味があるかもしれませんね」(スポーツ紙記者)
大本命と言われるプレッシャーと向き合い挑んだパリ五輪。この負けから心身ともに成長し、再び飛躍してくれることを期待したい。