戦争の記憶

栃木県那須町の千振開拓地で、説明を聞く上皇ご夫妻、秋篠宮さま、黒田清子さん、小室眞子さん(2005年9月2日)
栃木県那須町の千振開拓地で、説明を聞く上皇ご夫妻、秋篠宮さま、黒田清子さん、小室眞子さん(2005年9月2日)
【写真】学生時代の佳子さま、割れた腹筋が見える衣装でダンスを踊ることも

 また2005年10月、誕生日に際して宮内記者会から、「戦後60年の節目にあたる今年、両陛下は激戦地サイパンを慰霊訪問されました。今後、戦争の記憶とどのように向き合い、継承していきたいとお考えですか」と、質問された上皇后さまは、文書でこのように回答している。

《経験の継承ということについては、戦争のことに限らず、だれもが自分の経験を身近な人に伝え、また、家族や社会にとって大切と思われる記憶についても、これを次世代に譲り渡していくことが大事だと考えています。

(略)千振開拓地を訪ねた時には、ちょうど那須御用邸に秋篠宮と長女の子も来ており、戦中戦後のことに少しでも触れてほしく、同道いたしました。(略)初期に入植した方たちが、穏やかに遠い日々の経験を語って下さり、子がやや緊張して耳を傾けていた様子が、今も目に残っています》

 8月15日、79回目の終戦記念日を迎える。悲惨な戦争を二度と繰り返さないためにも、佳子さまたち若い世代が、「過去の歴史的事実を十分に知って未来に備えることが大切」なのだと思う。

<文/江森敬治>

えもり・けいじ 1956年生まれ。1980年、毎日新聞社に入社。社会部宮内庁担当記者、編集委員などを経て退社後、現在はジャーナリスト。著書に『秋篠宮』(小学館)、『美智子さまの気品』(主婦と生活社)など