目次
Page 1
ー 「もっと早くに辞めるべきだった」
Page 2
ー 裏金を作れないように制度を整えるべき
Page 3
ー 政治家が一番恐れていることは

「組織の長として責任をとることに、いささかのちゅうちょもない」

 こう語り、岸田文雄首相が8月14日、総裁選に出馬しないと表明した。9月末の総裁の任期満了により、岸田政権は退陣する。

「もっと早くに辞めるべきだった」

 自民党議員の裏金問題が噴出し、内閣の支持率は下落の一途を辿り、一部の調査では10%台という数字に……。

 これまで“増税クソメガネ”や“錯覚メガネ”など、国民から不名誉なあだ名をつけられた岸田首相。今回の退陣表明についてSNSでは、

《岸田首相、メガネを置く》

《岸田メガネやめるのか、コンタクトのほうが絶対いい》

《岸田総理が不出馬なら、次の候補は減税優秀コンタクトで頼む》

 などと、変わらず“メガネいじり”をされている。旧統一教会問題や裏金事件の責任をとって身を引くとしたうえで、

「自民党は変わらなければならない」

 とも語った。次期総裁の座には誰が就くのか気になるところだが、裏金作りの温床となっていた派閥解消は一向に進んでいない。

次期総裁選に出馬するとみられる石破茂元幹事長
次期総裁選に出馬するとみられる石破茂元幹事長

 ある政治ジャーナリストは、こう解説する。

派閥の解散はしないと宣言している麻生派(志公会)以外で、実際に総務省へ解散届を提出したのは森山派(近未来政治研究会)だけ。岸田派(宏池会)は9月上旬に解散届を提出する予定のようですが、二階派(志帥会)、安倍派(清和会)、茂木派(平成研究会)は、解散時期の見通しは立っていないよう。一方、総裁選に向けて派閥メンバーが集結する動きは活発化しています

 政治資金収支報告書に不記載だった派閥のパーティー券の売上げ、約6億円が裏金として、派閥から議員側に渡されていた。派閥の解消が進まなければ、また同じことが起こるのではないか。

岸田首相も責任をとると言うなら、もっと早くに辞めるべきだったと思います

 こう指摘するのは、裏金問題を東京地検特捜部へ刑事告訴し、捜査のきっかけを作った神戸学院大学の上脇博之教授だ。

「なにより、岸田首相が辞めたからといって、国民が納得するとは思えません。裏金をもらった議員全員と一緒に辞める、もしくは次の選挙には出馬させないとでも言わないと責任をとったことにはならないでしょう」

 上脇教授は、岸田首相には総裁選に出馬しても再選できないという判断があったのでは、と見ている。

数日前には憲法改正について積極的なことを言っていたのに、急に辞めるというのは整合性がつかない。ということは、自分が責任をとると言って、党内での立場を維持するための保身に動いたのではないでしょうか。仮に出馬して負けたら立場がないですから」(上脇教授、以下同)