アカウント特定のトラップに“カニ”

 また誤爆してからの対応も大事だが、起こる前の対策も大事とのこと。

「誤爆してはいけない要注意人物には、名前を編集して“●●様”と重要人物であることを目立たせるとか、注意を促すように頭に絵文字を入れる。またトーク画面の壁紙を変えるとか、ひと目でほかの人と違う仕様にすることが重要です」

「裏アカは基本、バレます。偶然、表示されたら知人の場合はすぐわかりますし、アカウント名やキーワードで調べたらだいたい探せます」

 テレビ番組で数回、芸能人や一般人のアカウントを探した経験を持つ高橋先生だが、毎回すべてのアカウントが特定できてしまったそう。

企業が新入社員のアカウント特定のために大量のうまい棒を配布しておいて、“#うまい棒”を検索する手法も聞いたことがあります。特定したい相手の通り道に、驚く仕掛け、例えば道に立派なカニを落としておくなども。驚きのあまり“道路にカニが落ちていた”と投稿したところを見つけて特定することもあるそうです。そういったトラップはいくらでも考えられてしまうんですね」

 大量のうまい棒に、道路にカニ─特定班の手法は恐ろしい限りだが、高橋先生は“SNSとは、基本的に見られたくない人に投稿を見られてしまうツール”だと言い切る。そこに嫉妬や恨みが絡めば、誤爆から炎上への道は一直線だ。

 最後に、読者世代が誤爆を防ぐために最も重要なことは何だろうか?

「今は50代以上でも複数のアカウントを持つ時代。ヒカキンさんも言っていますが、SNSではネガティブな感情を吐き出さないで。裏アカなどは持たないのがいちばんです。少なくとも自分と紐づいたときに不利益になることは書かないようにしてください。今の若い人は、デジタルタトゥーの怖さを知っていて、失言などの誤爆が永遠に残ることに敏感ですが、大人世代ほど感覚的に鈍っています。人の悪口や愚痴などは、SNSに投稿するのではなく、飲みに行った席などで吐き出しましょうね」


取材・文/ガンガーラ田津美