2019年に『news23』のメインキャスターに就任した小川だが、ここまでの道のりは平坦ではなかった。

視聴率2%台の日もあった

「小川さんがメインキャスターになってから視聴率はボロボロで、同じ時間帯の『news zero』や『報道ステーション』に大差をつけられていたんです。視聴率2%台の日もありましたから。あまりにも数字が悪いので、小川さんの降板が内定したとか、『news23』が終了を検討なんて報道も飛び出しました」(スポーツ紙記者、以下同)

 2021年にはテコ入れのため、人気のあった国山ハセンが同番組に加わったが、

「国山さんは2022年末にTBSを退社しました。理由の1つとして“テレビ番組が見られていない感じがあった”と明かしていました」

 こうしたピンチに小川が力を発揮する。テレビ局関係者が話を引き継ぐ。

「実は、2023年に話題となった旧ジャニーズ事務所の性加害問題で、民放番組で最初に大きく扱ったのが『news23』だったんです。各局がジャニーズタレントを起用していましたから、大きく報じたことで“タレントを引き上げる”なんて言われたら大変になる。だから、報道しても小さな扱いだったところ、『news23』が切り込んだのです。TBSが特集として報じると決めたのは、小川さんのひと言がきっかけだったと聞いています」(テレビ局関係者、以下同)

 いったい何があったのか。

「発端は2023年4月12日にあったカウアン・オカモトさんの会見。これを報じたのは、民放ではテレビ東京と日本テレビだけ。そこで会見のあった日、番組の内容を決める会議で、小川さんが“ジャニーズの性加害問題はやらないんですか?”と発言したそうです。これを受けて、報道部長が悩み抜いた末に報じることを決めた。ただ、TBSは会見にカメラを出していなかったので、映像を確保して別番組で取り扱うことになりました。局の内部では報じることに反発もあったようです」

 テレビ局は、巨大な組織でもある。さまざまな人間の思惑が交差する中、小川もそれに翻弄されたようだ。

「ただ、『news23』で“報道しない”ということではなく“独自ネタが取れたら報じる”という流れにシフトしたそう。こうした経緯があり、2023年5月11日の放送で、複数の被害者による証言などを10分間にわたって報じたのです。かつて“報道のTBS”と言われたことを立ち返るいい機会になったのでは。これは小川さんの功績だと思いますよ」

 性加害問題を報道した当時、小川は番組内でこう語った。

「果たして報道機関は、どれだけこうした被害を報道してきたのか。少なくとも私たちの番組ではお伝えしてこなかった。今後、番組ではこうした訴えをしっかりと受け止め、報道していきたいと考えています」

 この発言から約1年半。今度は旧統一教会の問題に切り込んで“報道の小川”を体現する――。