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ー 石破政権の未来地図
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ー 「イシバノミクスは何ですか?」

 新首相となる石破茂氏は、自民党総裁選のさなか、消費税の増税について「現時点では考えていない」と否定する一方、「党の税調(税制調査会)で議論する」と含みをもたせていた。

 政治評論家の有馬晴海さんが、その言葉の裏を読む。

「石破さんは候補者9人の中で唯一、『防災省の設置』を打ち出しました。能登半島地震や豪雨被害の対応などの反省を踏まえ、新しい省をつくって備えなければいけないとの思いを強くしたようです。地震大国にあって、災害発生後に行き当たりばったりで対応していては遅い。仮設住宅を造るのに何か月もかかるようでは被災者が困る。すぐに対応できる即戦力として『防災省』をつくりたいのでしょうが、設置にはお金がかかりますので、今ある予算から何かを削減するか、新たに国民の負担を増やすことになります」

石破政権の未来地図

 防災省設置だけではない。岸田政権下の2年前、防衛力の抜本的な強化のため、法人税・所得税・たばこ税を増やす“防衛増税”を実施すると決めた。開始時期は先送りされているが、それは政治資金パーティー収入の裏金問題に国民から厳しい視線が向けられているため。ほとぼりが冷めれば、いつゴーサインが出てもおかしくない。

 防衛相を務めたことのある石破首相は防衛増税に賛成しながら、戦闘機や戦車などの武器を調達しても「乗る人がいなければどうするのか」と自衛隊員の育成にまで目を向けている。

「防衛増税ゼロをうたった総裁選候補者は、経済成長によって税収が増えれば増税は必要なくなるとか、まず経済をよくするのが先などと言いながら、どのように経済成長させるのか具体的な根拠を示しませんでした。お金を使って税収を増やすという財政出動型に対し、石破さんは、出ていく金はどこからか補てんしないといけないという収支均衡型に近いといえます。

 防衛を強化するのに“負担はしなくても済みますよ”と言うとウソつきになってしまいます。“増税します”と言い切れなくても、この国をメンテナンスしていくには国民に負担をお願いする可能性はあると考えているはず。負担に見合った国のかたちができればいいということでしょう。議論して、場合によっては国民の負担増も検討しなければいけないということだと思います」(前出・有馬さん、以下同)