佳子さまも記憶に残っていないエピソード

長野県・軽井沢での静養中に地元の公園を訪れた佳子さまと眞子さん(1998年8月20日)
長野県・軽井沢での静養中に地元の公園を訪れた佳子さまと眞子さん(1998年8月20日)
【写真】学生時代の佳子さま、割れた腹筋が見える衣装でダンスを踊ることも

 特に、いちばん身近な存在である母親は、娘たちの様子をより具体的に証言していて興味深い。おそらく、現在、佳子さまも記憶に残っていないエピソードがほとんどかもしれない。両親が語るように、生まれたときから佳子さまは、3歳上の眞子さんに可愛がられ、2人はとても仲良しだった。こうした関係は大人になっても続いた。

 佳子さまは2014年12月29日、20歳の誕生日を迎え、めでたく成年となったが、直前に行われた記者会見で佳子さまは、このように答えている。

「姉は、何でも話すことのできる頼りになる存在です。姉と過ごす時間は非常に楽しいので、よく姉の部屋で過ごしております。今は海外にいるのであまり会うことができず、寂しく感じることもありますが、ときどき連絡を取っております」

 '21年10月26日、眞子さんは大学時代の同級生と結婚した。宮内庁職員を通じて婚姻届を提出し受理されただけで、「納采の儀」や「朝見の儀」など、結婚に関連する皇室の儀式・行事は一切行われず、一時金は眞子さんが辞退するという異例のものだった。

 秋篠宮ご夫妻は、《(略)最初に結婚することについて公表して以降、私たちにとって予期していなかった出来事が起こりました。このことについて、私たちの周りからも種々の示唆をいただくとともに、心配する声や反対する声が寄せられました。

 また、皇室への影響も少なからずありました。ご迷惑をおかけした方々に誠に申し訳ない気持ちでおります。(略)皇室としては類例を見ない結婚となりました》などという内容の談話を発表した。

 こうした中にあっても佳子さまは、姉を応援し、《私は、結婚においては当人の気持ちが重要であると考えています。ですので、姉の一個人としての希望がかなう形になってほしいと思っています》('19年春、国際基督教大学卒業に際しての文書回答)という姿勢を最後まで崩さなかった。

 そして、あの印象的な別れの場面である。玄関先で両親が見守る中、佳子さまは嫁ぐ姉としっかりと抱き合い、別れを惜しんだのだった。

 今、国会では女性皇族が、一般男性と結婚後も、皇室にとどまる制度である女性宮家の議論が続いている。天皇、皇后両陛下の長女である愛子さまと、佳子さまという内親王がその対象となってくる。しかし、姉の小室眞子さんがすでに結婚して一般国民となっているのに、佳子さまが結婚して、一人、皇族としてとどまるだろうか。

 あれほど、姉のことを慕っている佳子さまにすれば、姉妹の情として、女性宮家をすんなり受け入れるとは考えにくい。せめて、眞子さんが結婚する前に女性宮家問題が決着していればよかったかもしれない。大事なのは、タイミングなのだ。

 10月23日は、眞子さんの33歳の誕生日である。

<文/江森敬治>

えもり・けいじ 1956年生まれ。1980年、毎日新聞社に入社。社会部宮内庁担当記者、編集委員などを経て退社後、現在はジャーナリスト。著書に『秋篠宮』(小学館)、『美智子さまの気品』(主婦と生活社)など