10年間続くこともある乳がん治療
主治医、麻酔医、看護師など病院のスタッフからも、それぞれ詳しい説明を受けた。これから自分に起こることが具体的になってくると、やはり心穏やかではいられない。
「手術の事前説明では初めて知ることが多くて。例えば、『ドレーンをはずせるようになるまでシャワーはできません』とかいわれても、ドレーンなんて初めて耳にした言葉で。これは手術したところに装着する管のひとつなんですけど、術後はやはり、かなり不自由な状態になるんだなあと実感。
それから術後の傷の痛みについても、経験者の人から、『鎮痛薬があるし、痛くないからだいじょうぶ!』といわれたりするんですが、痛みの感じ方は人それぞれだと思うんですよね。励ましてくれているとは思うのですが、私の気持ちとしては、痛くないと思っていて期待はずれになるより、『思っていたより痛くなかった』と思えたほうがいいかなあ。なので今は、『すっごく痛いはず!』と覚悟するようにしています」
がん治療において、外科手術は大きな意味を持つが、父親の故・梅宮辰夫さんをはじめ、親族や知人など身近な人のがん闘病をみてきたアンナさんは、術後に続く再発予防のための治療の大切さも十分に認識している。
「がんって、“手術で悪いところを取ってしまえば終わり”ではないんですよね。目に見えない、検査でわからないような、がん細胞が残っていて再発するかもしれない。それを防ぐために、私も手術後に、後半の抗がん剤治療を受けて、その後、放射線治療をして、さらに5年間か10年間か、ホルモン剤を服用するというホルモン治療が続きます。
また抗がん剤かと考えると、『イヤだなあ』とは思うし、10年後っていったら、私62歳ですよ! でも、どの治療も、現段階で再発予防に最も効果があるとされている標準治療ですからね。イヤでも、コワクても、ちゃんとやっていこうと心に決めています」
右胸との“お別れ”まで「いよいよカウントダウンです」というアンナさん。術前検査もすべて問題なしだったとか。心身ともに、手術に臨む準備を着々と整えつつある。
取材・文/志賀桂子