エンゼルスから“移籍”の可能性
では、このグレース・マクナミーさんとは何者なのか。
「日本人の両親を持ち、ロサンゼルスで生まれ育った日系2世です。'95年から学生インターンとしてドジャースで働きはじめ、同年に入団した野茂英雄さんに関する一連の広報業務を担当。日本からのメディア対応を彼女がしていました。当時は旧姓の“グレース・森野”で、そちらの名前で聞いたことがある人もいるかもしれません。その後、野茂さんが退団した'98年に彼女もドジャースを離れ、別業界へ転職。結婚して、しばらくは野球の現場からは離れていました」
そのグレースさんが'18年からエンゼルスの広報として再び球界で働き始めたが、そのきっかけが大谷だった。
「大谷選手がエンゼルスと契約したことを知り、グレースさんから球団に連絡を取ったようです。二刀流でのメジャー挑戦ということで、多くの日本メディアが取材に来ると考えたエンゼルスは採用を決定。グレースさんも家族の理解を得て再び野球の現場に戻ると、日本のメディアと球団や大谷選手の間に入る調整役を担っていました。記者たちに丁寧に接する一方で、選手に関して余計なことは話さない。かなり有能で、選手からもメディアからも信頼されている人です」
朝早くから夜遅くまで取材の対応をするなど、ハードな仕事をこなしてきたグレースさん。病も克服した。
「'22年に乳がんと診断され、手術や放射線治療などを受けたと本人が告白しています。その後、がんは寛解。メジャーでは『母の日』に乳がんの撲滅と啓発を目的としたキャンペーンを行っており、今年はグレースさんが始球式をしていました」
'18年から'23年まで共に過ごしてきたグレースさんと大谷。野茂という日本人メジャーリーガーのパイオニアと、二刀流のパイオニア。その両者を知る人が、再び大谷の力になるかもしれないという。
「彼女は球団と1年ごとの契約です。エンゼルスは大谷選手が移籍したため、日本のメディアが来ることもほとんどなくなり、契約を延長するかは不透明。シーズンの終盤から大谷選手と一緒にいる姿をよく見かけるので、もしかしたら来年はドジャースが雇うか、そうでないにしても大谷選手と個人的に契約して、サポートするということも十分に考えられます。
大谷夫妻としても、本来なら元通訳の水原一平氏とその妻に公私の手助けを期待していたかもしれないですが、一連の事件でそれはかなわない状況に。グレースさんなら信用できますし、これ以上ない人物でしょう」
来年は“新生チーム大谷”で2個目のチャンピオンリングを狙う!?