“皇室御用達”を悪用した事件
実際に“皇室御用達”というステータスを悪用した事件も起こっている。
「昨年、70代の男が“皇室に献上する”と語り、偽造の献上依頼書を提示して、農家から桃4箱を詐取していたことが判明しました。同様の手口で、別の農家からもしいたけやトマトをだまし取っており、男には今年、有罪判決が下されました。生産者にとって、皇室の方々に召し上がっていただくということは、何より光栄なことといえるでしょう。そうした感情を利用したトラブルは、近年も変わらず起きているのです」(前出・皇室ジャーナリスト)
浮上した“佳子さまが広告塔として利用されるリスク”について、宮内庁はどのように考えているか、問い合わせたところ、
《宮内庁として特にコメントすることはありません》
との回答があった。
懸念される“皇室利用”を予防すべく、30年間皇后を務められた美智子さまは“ある対策”を講じておられたようだ。
「美智子さまも佳子さまと同様、公務で地方へ赴かれる際は、訪問先に関連するものを身に着けておられました。ただ、佳子さまとは大きな違いがあります。例えば、'14年に当時天皇、皇后両陛下だった上皇ご夫妻が沖縄県を訪問された際、美智子さまは沖縄の伝統織物である『芭蕉布』で作られた帽子とスーツをお召しになっておられました。
これは沖縄県訪問に際して、美智子さまのために作られた一点ものです。特定のメーカーの広告塔になることなく、それでいて地元の工芸品に敬意を表す方法を、美智子さまは考え抜かれたのでしょう」(前出・皇室ジャーナリスト)
佳子さまも美智子さまのように、皇室利用の罠から逃れる策を見つけられるのだろうか─。
小田部雄次 静岡福祉大学名誉教授。日本近現代皇室史を専門とし、『皇室と学問 昭和天皇の粘菌学から秋篠宮の鳥学まで』など著書多数
山下晋司 皇室解説者。23年間の宮内庁勤務の後、出版社役員を経て独立。書籍やテレビ番組の監修、執筆、講演などを行っている