「前作では菅田(将暉)くん演じる気弱な息子の翔と入れ替わっていたので、総理大臣の武藤泰山でいる状態がほとんどなかったんです。だから、途中で役に入り込みすぎてしまって、コンセントを踏んだだけでも“すみません!”って思わず謝ったりして(笑)。そういう気弱な部分を消すことから始めたので、今作は泰山を改めて一から演じている感じです」
9年前の前作からプライベートで大きな変化が
現役総理大臣がおバカな息子と心と身体が入れ替わるという前代未聞の珍事を、シニカルに時にハートフルに描いたドラマ『民王』の続編で、再び武藤泰山を演じている遠藤憲一。
今回、泰山が入れ替わるのは何と全国民。5歳の子どもから老人まで幅広い役を演じている。
「毎回、入れ替わる可能性がある人とは一緒に本読みをやっています。相手の方が泰山を演じるとしたら、姿勢や口調とかどうすればいいかとか、逆に俺はどう演じたほうがいいかとか、監督さんやプロデューサーさんを交えて相談しています。毎話、誰かと入れ替わるので四苦八苦の連続ですけど、こんなに変化に富んだ役はそうそうもらえるものじゃないですから。大変ですけど感謝の気持ちのほうが大きいです」
もし自身が泰山と同じ状況になるとしたら、この人と入れ替わってみたいそう。
「1回、女房と入れ替わってみたいですね。よく日常で注意されるんです。女房の目線から見ると、俺っていつもどういう状態で、どう思われているのかなって(笑)。そこはちょっと気になるので、試してみたいですね」
前作から9年がたち、遠藤自身にこんな変化が。
「お酒を7年前、タバコを4年前にやめました。一番よかったのは二日酔いがなくなったことですね。よく朝にシャワーを浴びながら、“なんで飲んだんだ!”ってひとりで後悔していましたから(笑)。普段は飲みたいとは思わないんですよ。でも、少ない人数で何度か行ったのですが、周りが飲み始めると“いいな〜”って思っちゃって。みんなは飲んで楽しくなってきて、こっちはテンションが下がってくるみたいな状態です(笑)」
一方、役者としては60代となり、さらにギアが上がったと話す。
「亡くなる数年前に西郷輝彦さんと共演させていただいたんです。俺が60歳になったばかりのころだったのですが、年齢を聞かれて答えたら“若っけえな〜、60代は最高だぞ”っておっしゃられて。それで、理由を聞いたら、ちょうどコロナ禍でフェイスシールドをしていたので、真剣にお答えいただいたためか声が小さくて聞こえなくて、出番で呼ばれて行ってしまったんです(笑)。
後日、バラエティー番組で共演させていただいた際に、改めて聞いたら、これまで培ったものを全部出せる世代だって教えていただいて。その言葉が、この作品で演じていてすごく実感できますし、終わった後、充実した役だったなと思える一作になるんじゃないかと思います」
これがオフのお楽しみ
「たまに息抜きで仙台に行きます。よく食べるのは牛タンですね。美味しいお店を見つけたのですが、店員さんに“またいらっしゃいましたね”とか言われそうなくらい行ってて(笑)。あと、有名じゃないけど紅葉のときに、ある一角が真っ赤に染まる公園があるんですよ。新幹線ですぐ行けて便利ですし、時間があったらまた行きたいなと思います」
『民王R Inspired by 池井戸潤』
テレビ朝日系 火曜夜9時〜