左胸を支える“ブラジャー問題”に直面
自宅での日常生活が始まると、入院中には気づかなかった違和感も実感することに。
「右脇のリンパ節も取ったので、手術痕は脇の下まであり、今は痛みで右腕が肩より上に上がりません。右利きなので、とっさに右腕を動かすと痛いし、つかんだものをよく落としてしまう。メイクもたいへんだし、なんだか頭で思うことと身体がバラバラで、今まで味わったことのない違和感が続いています」
入院中から、右腕のリハビリのためのエクササイズも指導されているが……。
「肩回しとか、右腕を上がるところまで上げてキープするとか、病院でリハビリの指導を受けました。でも、胸は引きつるし、痛むし、すぐやめちゃう。『もう前のように右手を上げられないのでは?』と考えて涙が出たり。せめてものリハビリにとハンドグリップを握ったりしていますが、鬼軍曹のようなコーチがいたらいいのにと思ってます(笑)」
身体が思うように動かないもどかしさに加え、アンナさんを悩ませているのが下着だ。
「乳がんの術後用のブラを用意していたのですが、実際に使ってみると、切った傷やドレーンの管を抜いた痕に当たって痛い。もしかしたら手術直後に使えるわけじゃなかったのかも。今日は左胸だけカップに入れ、右側はパッドをせず肩にかけています」
若いころからバストケアの一環でブラ選びにはこだわりもあった。術後用ブラについても事前に調べていたそう。
「種類はあっても全体にサイズが小さくて。こんなことを言うと、羨ましいなんて声もありますが、胸があるのも真剣な悩みなんですよ。ノーブラでは外に出られない。なのに左だけ残ったおっぱいを、自然な形で支えてもらえるタイプがなかなかない。今まで当たり前に身に着けていたからこそ、ブラのことを考えると、外出もついついおっくうになってしまうんです」