6人の孫たちはもちろん犬や猫、植物にも話しかけるとすくすく育つ
東京郊外の大きな家は、高橋夫妻に、子どもたちと孫、惠子さんのお母さんと4世代9人と、犬3匹、猫11匹、カメ1匹でにぎやかに暮らしたこともあった。
「父は家が建つ直前に亡くなったんです。植物が大好きで、捨てられていた椿の枝を持ち帰って、育てて。それを新しい家の庭に植えたら、咲いたんです。“おじいちゃん、この家に住めなかったけど、喜んでいるね”って家族で話しました」
惠子さんも植物が好きで、木や花にもよく話しかける。舞台に出て、もらった花が廊下に並んでいると「今日もかわいいね」などと話しかけるそう。
「“高橋さん、大丈夫ですか?”と言われ、私についている人が“大丈夫、あれが普通ですから”と答えてくれます。話しかけると、切り花でも持ちが違うんですよ。ちゃんと聞いているというか、感じるんですね。植物でも、動物でも」
惠子さんが仕事で遅くなるときは、お母さんが子どもたちの面倒を見てくれた。子どもたちは寂しい思いをせずにすんだと感謝している。
「母を2年ほど介護した時期があり、毎日一緒に散歩しました。その前に、母が“ヴェニスに行ってみたい”と言うので、イタリア旅行をしたのは、私たち母娘のいい思い出です。今思えば、もっと大切にすればよかったですね」
2015年にお母さんが亡くなり、息子さんも娘さん一家も独立。夫の高橋監督は、京都芸術大学で教えており、東京と京都を行ったり来たりが10年ほど続いた。
「夫婦2人の生活になったので、相談して断捨離しました。母の遺品を整理し、大家族用のソファなどの家具、本や衣類、食器など、思い切りよく処分しました。いただいた受賞トロフィーも、捨てました。ありがたいけど、それにとらわれたくはないと思って。身軽になって、心も軽くなりました」
最近、佑奈さんの住むマンションの1階が空き、郊外の家を手放して、そちらに引っ越した。
「3歳になるビーグルが1匹と猫が1匹いたんですが、娘のところに子犬が生まれたので3匹はうちで飼うことになり、朝は犬猫の世話をして、ビーグルは朝と夕方に散歩しています」
散歩しながらセリフを覚え、健康も維持し、一石三鳥になっている。
佑奈さんは20歳で第1子を出産し、惠子さんは48歳で祖母になった。そして、10月に6人目の孫が生まれた。佑奈さん一家は、8人家族に犬4匹、猫7匹、カメ1匹も同居している大所帯だ。
「20歳になる2番目の孫が赤ちゃん好きで“私が育てる”と、世話をしてくれていて、母乳がよく出る料理を作ったり、健診の日も親より把握しているのよ」
惠子さんは笑うが、
「上の子たちは、もう大きくなったから、下の子の面倒を見てくれるんで、そんなに大変だとは思っていません。動物も小さいときから多かったので、にぎやかなのが普通なんです」
と語る佑奈さんも明るくはつらつとした肝っ玉母さんだ。
そんな佑奈さんだが、人に会いたくないというほど悲惨な目に遭ったことがある。
「庭に植えたおじいちゃんの椿に、ある年、チャドクガが発生したんです。佑奈がやられ、特に顔がひどかった。皮膚科では、これ以上は治らないと言われたのですが、フィリピンの友達が、モリンガのオイルを試してみてとくれたの。それを塗ったら、きれいになって、モリンガのすごさを実感しました」(惠子さん)
佑奈さんは、モリンガのスキンケアブランドを立ち上げることになる。
「“おじいちゃん、何してくれたの”と思ったけど、おじいちゃんのおかげ。どうして?って、いう中に次のヒントや、きっかけがある。経験上、無駄はないです」
惠子さん母娘の前向きな姿勢が、人生にプラスを生み出している。