ドラマ『毎度―』が放送された1985年の大みそか、日本レコード大賞の最優秀新人賞を受賞。15歳だった中山さんは涙を流して喜んだが、その夜に異変があった。

「授賞式の後、祝賀会があったのですが、美穂は30分ぐらいで“もう疲れたから帰りたい”と言う。大人の集まりですから、退屈なのだろうと思ったのですが……」(前出・山中氏、以下同)

 そうではなかった。中山さんが向かったのは、所属事務所。そこに大勢のファンが詰めかけていた。

美穂は事務所にファンが集まるのを知っていたんです。だから、一刻も早くそこに行きたかった。彼女は一晩中、ファンの子たちと話していました。誰とでも分け隔てなく接する。それが彼女の魅力なんです

 その後、中山さんはトップアイドルへと駆け上がるが、その人柄は変わらなかった。

共演俳優が明かす“美穂さんの素顔”

中山美穂さんと共演した中野英雄
中山美穂さんと共演した中野英雄
【写真】中山美穂さんが愛した3人のミュージシャン

美穂さんは、まったくの無名だった私を、1人の俳優として見てくれた、初めての人でした

 そう話すのは、俳優の中野英雄。中山さんとは、1990年のドラマ『すてきな片想い』と1992年のドラマ『誰かが彼女を愛してる』(共にフジテレビ系)で共演した。

「当時の僕は、俳優であり柳葉敏郎さんの付き人でもありました。『すてきな片想い』は、柳葉さんと“セット”で出演させてもらったんです。美穂さんは、すでにトップアイドルだったのですが、無名の私にも“一緒にごはん食べようよ”と声をかけてくれるんですよ。僕を下に見るでもなく、本当に1人の出演者として接してくれた。僕からしたら、かけてくれるそのひと言、ひと言が本当にうれしくて」(中野英雄、以下同)

 共演していた柳葉は、緊張した様子だったという。

「美穂さんの大ファンである柳葉さんは、共演できることをすごく喜んでいた反面、そうとうなプレッシャーの中で演じていました。おそらく“ドラマを成功させて、俺が美穂さんを盛り上げる。浮かれた気持ちで演じて、絶対に失敗させてはいけない”と強く思っていたはずです」