未婚よりも「人生経験を積んだほうが」

 いわゆる「未婚・若い女性」の由来について、神山さんはこう見解を示す。

「他の人との接触が少ない分、雑菌が少ない、という考えからでしょう。新海誠監督の映画『君の名は。』に、巫女さんの家系のヒロインが『口噛み酒』を造るエピソードが出てきますが、これにもつながっているのだと思います。

 それがいつの間にか、『巫女さんは若い女性でないと』ということになったのではないでしょうか。実際は、神主さんの奥さんが巫女さんだったりもしますし、何ら問題はありません。むしろ私は、人生経験を積んだ大人の女性のほうが、素晴らしい巫女さんになれると考えています」

 現在は巫女としての作法や舞の講師も務める神山さんが、巫女になったのは、4人目の子どもを出産後の壮絶な経験がきっかけだった。

「膵臓がんが見つかり、そこへ育児に両親の介護まで加わり、夫とは離婚。がんが進行し余命宣告まで受け、地獄とはこのことか、という経験をしました。そんな折、人生の師ともいえる経営者の先輩方に、神道や仏教といった、先達の考えを学ぶことをすすめられました」

 その結果、さまざまな気づきを得ることができたという。

「我欲を捨て、自分の心を見つめ直すことができ、とても楽になることができたんですね。今は心身ともにすっかりよくなりました。残りの人生は巫女として、神と世の中の人のために仕えようと決めたのです」

 神山さんは、巫女さんの見た目だけでなく、「スピリット=精神」も、世界からの憧れの対象になってほしいと語る。

そもそも日本の神様は“八百万”の個性派集団の集まりなんです(笑)。髪や目、肌の色もさまざまな巫女さんの精神を持った人たちが、日本文化の思いやりの精神を継承してくれたら、こんなに素晴らしいことはないと思いますね」