ある日、地元のテレビ神奈川(tvk)を付けっぱなしにしていると、妙に通販番組、つまりテレビショッピングが多いことに気づいた。
家にいながら運動不足を解消できる器具や、片耳につければ聞こえやすくなるという集音器、心地よく眠れるベッドパッド……キー局ではあまり見かけなくなったタレントとともに次々と商品が紹介され、電話申し込みで購入を促す番組が、断続的に続く。
『tvkお買い物情報』と題されたこの番組は、早朝から夕方の時間帯に日によって10〜15本ほど挿入されている。こうもショッピング番組が多いのはテレビ神奈川だけではない。東京MXテレビも日中は『MXショッピング』がお昼の大半を占めており、同じように早朝から夕方までの時間に挿入されている。テレビ埼玉、千葉テレビなども同様だ。
一例として、2024年12月26日(木)のテレビ神奈川の番組表から、ショッピング枠だけを抜き出して見てみると、実に15本、昼間はほぼ30分おき、夕方の時間帯は1時間半はショッピング番組である。年末の週末とはいえ、かなりの頻度であることがわかるだろう。
このように、独立系地方テレビ局がショッピング番組を日中の大半に編成しているのには、なにか理由があるのだろうか?
「このような通販番組は、制作費は基本的に通販会社持ちで、局からしたらコストほぼゼロで時間枠だけ売れるのがメリットです。制作費が潤沢でない独立系地方局は既に視聴率の低い昼間の時間帯は独自で番組を作ったり、他局から番組を買って放送したりする体力がもうなかなかないというのが実情といえます。
民放キー局でさえ、夜中はテレビショッピングが多く、さらにゴールデンタイムでも特定のホームセンターやスーパー、外食チェーンなどを大々的に特集し、“企業さんCMください”といわんばかりの番組が目立つ昨今ですから、地方局がこうなのは無理からぬことなのかもしれません」(広告代理店関係者)
実際のところはどうなのだろうか。テレビ神奈川の編成局に、「貴局の番組放送時間にテレビショッピングが多い理由・ご事情をお教えください」など3項目の質問状を送ったが、「総合編成の観点から社内で協議し、放送番組の内容、放送時間などを決定しています」という簡潔なコメントが届いた。
かつてテレビ神奈川といえば、朝の音楽バラエティー番組『SAKUSAKU』を制作し、2003年からMCを務めた当時18歳の木村カエラがブレイク。この番組は一時全国12局がネットし、気を吐いた歴史がある。
そんな番組の再来を待ちたいところだが…。
しかしインターネットを使わない世代にとって、テレビは世の中との接点。通販番組でこまめに最新の生活アイテムを紹介してくれることで、QOL(生活の質)を上げているシニア世代も多いはずだ。