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ー 《マンネリもマンネリで》

 テレビ東京の人気ドラマを映画化した『劇映画 孤独のグルメ』が好調だ。

 1月11日~1月13日の国内映画ランキング(全国週末興行成績・興行通信社)によると、同作は3位に初登場。初日から3日間で動員16万7000人、興行収入2億4200万円をあげている。ちなみに1位は木村拓哉主演の『グランメゾン・パリ』、2位が永野芽郁と佐藤健がW主演を務める『はたらく細胞』。その中にあって、テレ東の深夜ドラマから始まった『孤独のグルメ』がトップ3に入るのは、まさに快挙というほかあるまい。

「主演はもちろん松重豊。しかも彼が今回、脚本と監督も務めています。気になる内容はいつもとは打って変わって、井之頭五郎(松重)が国内を飛び出してフランスや韓国など海外を渡り歩くというハイスケールなものですが、13年もの間五郎を演じ、さらにこの2年はドラマシリーズの台本作りなど全ての製作に携わってきた松重さんだけに、作品の解像度は抜群。それまでのドラマファンをも十分納得させる作りとなっています」(芸能ジャーナリスト)

《マンネリもマンネリで》

 SNSでも好評の声が続々。

映画ならではのストーリーもありつつ、しっかりいつも通りの孤独のグルメしててまさに集大成な感じでめちゃくちゃ面白かった!》 《控えめに言って「最高」でした。ドラマ部分も良く出来てるし、笑えてそしてお腹が減る、究極の映画です》 《TVドラマの延長線上の話だけじゃなくて、ユーモアを交えながらちゃんと映画として落とし込んでいるところがさすが》

 など満足度はすこぶる高いようだ。

 そんな松重はこれまでシリーズの新作発表の度に「そろそろ飽きたころだと思います。過剰に期待しないでください」「老けました。もう痛々しいから辞めろという声が聞こえてきたら、辞める覚悟は出来ています」などネガティブコメントを連発することが“恒例行事”となっている。

「2017年4月、同作の『Season6』スタート時の記者会見でも《この間“オワコン”という言葉を知りまして、この番組にピッタリだなと思って。お客さんが終わってもいいと思っても仕方ないくらいマンネリもマンネリで。どこへ向かえばいいんだろうという気持ち》と、作品に対する思いについて自虐を交えて吐露していました」(前出・芸能ジャーナリスト)

 確かに極端なことを言えば、中年のおじさんがひとりで食事を楽しむだけのドラマである。毎回同じような展開に飽きが来そうもするが、この作品には一体どんな魅力が隠されているのだろうか?

「誰よりも食べることが大好きな主人公・五郎(松重)のキャラクターを楽しみながら、どこへ食べに行くか、辿り着いた店はどんな店構えか、実際のメニューの注文、料理が来る前の期待感、そして実食した感想などなど、視聴者は随所に挟まれる彼の語彙力豊かなモノローグによって、自ずと食欲が増していきます。

 しかも料理をとことん丁寧に撮影することで視覚にも訴えている。もちろん、食べている間の松重さんのリアルな表情もポイントです。“飯テロ”という言葉がありますが、見ている人に『美味そう』と無理なく思わせる仕掛けが抜群なのです」(ドラマ制作関係者)

 まさにありそうでなかったグルメドキュメンタリードラマ。これからも楽しませてくれるに違いない。