目次
Page 1
ー 身辺整理を甘く見てはいけない
Page 2
ー 早いうちから資産を整理 ー カネにも人にも執着しない

 2023年12月にステージ4の末期がんと診断された経済評論家の森永卓郎さんが亡くなった。67歳だった。

 森永さんに『週刊女性PRIME』が取材をしたのは昨年末。その時に「猛スピードで取り組んでいる」と語っていたのが終活だった。

身辺整理を甘く見てはいけない

「身辺整理を急ぐのは私自身が父の死後に相続地獄を経験したから。あんな苦しみを家族に与えたくない。きちんと死に支度をしてから逝こうと決めました」(森永さん、以下同)

写真提供/森永卓郎さん
写真提供/森永卓郎さん

 森永さんは書棚にあふれた本や財産、仕事、家族との関係性などを対象に進め、ほぼ完了というところまでたどり着いたという。

しかし身辺整理を甘く見てはいけません。いざ進めると、さまざまな壁が存在するもの。私の場合も予期せぬ事態に遭遇し、そのたびに知恵を絞って乗り越えてきました。仕分けをしようとすると、いろいろ思い出がよみがえってきたり、まだ必要な場面が出てくるのではないかと考え始めて、先に進まなくなったり。

 たとえば大学の研究室にある数千冊の本の整理に関して私がやったのは、根こそぎ処分で何も残さないということ。いったん全部処分して、どうしても必要なものが出てきたら、買い戻すことにしています。ただ実際にやってみると、買い戻すものはごくわずか」

 だから本などモノの類いは全部捨てても、未練は残らず何を捨てたのかさえ把握していなかったという。

「唯一の未練といえば、早くから少しずつやっていればコストがかからなかったのが、業者にまるごと処分を依頼したので、その分費用がかさんでしまったこと」