テレビプロデューサーの鎮目博道氏に、広告収入減が番組制作に与える影響を聞いた。
「セールス時期の関係で少なくとも7月ごろまで、フジテレビの広告収入は、ほとんどありません。それでもレギュラー番組を続けなければなりませんが、赤字覚悟ということになるでしょう。その場合、例えば10回やるべき収録を7~8回で済ませて、2~3回分の予算を浮かせるといった対応が考えられます。そのため、過去の素材を使った総集編が増えるかもしれません」
ドラマやバラエティー番組にも“皺寄せ”
新たな企画をつくるにもお金がかかるため、
「特番や単発番組は制作できなくなり、そうした枠の多くが再放送になってしまう可能性があります。バラエティー番組は、その場しのぎのような厳しい状況になるでしょう」(鎮目氏、以下同)
また、予算の問題だけでなく、情報番組は取材先から断られ、ドラマはロケ場所の協力が得られないという事態が起きており、
「情報番組は企画の幅が狭まります。ドラマは、ロケをしたいシーンでもスタジオの中で撮影をしたり、見せ場のシーンもできる範囲でごまかさなければならない。すると、どうしてもスケールダウンして、内容がつまらなくなってしまいます」
つまり、フジテレビの番組は、今後“楽しくなくなる”と予想され、日枝氏のキャッチコピーに倣うと、それは“テレビじゃない”ということになる。この状況に、日枝氏は何を思うのか─。
鎮目博道 テレビプロデューサー。1992年、テレビ朝日に入社。報道番組プロデューサーなどを経て、『ABEMA』立ち上げに参画し2019年に独立。著書に『腐ったテレビに誰がした?「中の人」による検証と考察』(光文社)など