建設費の高騰も影響
「劇場の舞台は使用できるのですが、演出効果用の舞台機構は使えない状況なんです。そのため、ファッションショーの照明は外部から持ち込みました。かつ、客席も使用できないため、お客様も舞台上で見ていただく形をとりました。老朽化によって制限が多いですが、利用できるところだけでも利用したいという考えのもと進めた企画です」
続けて、新劇場を建設する事業者選定の現状を聞いてみると……。
「過去2回の入札が不落となったことの要因のひとつに、建設費の高騰があります。私どもだけではまかないきれませんので、国に対応してもらうべく、2024年12月末に国の補正予算に計上するよう動いていただきました」
しかし、この補正予算は一部予算が上乗せされただけで安心してはいられないと危惧する声も。
「そもそも老朽化が進んでいたとはいえ、再設備の目途がたっていない状況で閉場したことがお粗末な話なんです。政府の文化行政がいい加減であると言えるでしょう。今後の入札に関しては条件を緩和させ、当初予定していたホテルの併設などを必須とせず、入札参加者の判断に委ねる方向で動いているようです。
閉場中の公演は、首都圏の各種ホールや劇場を借りて代替公演を主催しているそうですが、公演回数は激減している状況なんです」(前出・全国紙文化部記者)
担い手の高齢化が進む伝統芸能は、一度途絶えてしまえば、復活は極めて困難となる。存続のために国として早急に動いてもらう必要がある。