現在のスタンダードが派遣リフレの理由
阿部「当時は法律が追いついておらず、“店舗型”というカーテンなどで仕切られた半個室風のスペースで、現役女子高生が客にサービスを行っていました。そして中には『裏オプション』とも言われる双方同意の元で性的なサービスが行われるケースもあったんです。これは店側が売買春のきっかけを作っているとしか考えられず、しかも現役女子高生が大手を振って援助交際に励むことができてしまうため、一斉に近い摘発が行われたんだと思います」
大規模な摘発が行われたとはいえ、“完全消滅”には至らなかったというJKリフレ。阿部さんによると、形を変えて違法まがいの店が出現するに至ったそうだ。
阿部さん「摘発が続いたことも、結局は各店舗のPRになっていたんではないかと思います。2016~17年頃には“お散歩リフレ”という形態で、やはり10代半ば~後半くらいのキャストと路上で待ち合わせをしてホテルに直行するような“違法”なお店が乱立していました。そしてそれらの摘発が終わる頃には、リフレは『性的サービス絶対NG』の店舗型か、『ほぼデリヘル』という派遣型の2パターンしか残らなくなったんです」
「違法ガール」で描かれている店舗がすべて派遣型というのも、現在の状況に合わせた設定だという。
阿部さん「統計を取ったわけではありませんが、恐らく現在のリフレのスタンダードが派遣型だからです。私には元経営者の情報源もいることから、内部事情も多く取り上げることができました。その元経営者が言うには、現在の派遣リフレはデリヘルの営業許可を取っている店が大半で、客も嬢もそれを知らずに店に関わっているということでした。
なぜそうするかというと、許可を取っているのだから“裏オプ”による性的サービスは事実上黙認されるし、18歳未満のキャストを雇ってしまわない限りは摘発リスクが最小限に抑えられる。そしてなにより女性の求人に際して『風俗ではない』という言い訳が作れるということでした」
女性側からすると、リフレが「風俗の入口」になりかねないとも阿部さんは語る。
阿部「家庭の事情、趣味のため、どんな理由なのかは人それぞれですが、まさに風俗の入り口、第一歩としてリフレは具合がよかったんだと思います。ただ、この話は1年以上前に書きましたが、その時点でリフレはもはや下火になっていて、流行は『メンズエステ』に移っているという話を聞いていました。そちらもいずれ『違法ガール』で取り上げる予定ですが、その頃にはまた違うサービスが“発明”されていて、メンズエステ業界も下火になっているのかもしれません」
昨年はメンズエステが摘発されたニュースも相次いでいた。需要と供給が成り立っている限り、こうした違法と隣り合わせの”グレー店”が消滅することはないのだろうか。
阿部ベア
普段は芸能ライターとして活動。数々のスクープを世に出す。本作と『トウ狂女子図鑑』で原作デビュー。緻密な取材に基づいた人物描写を得意とする。
漫画
伊藤遥人
香川県出身。『君は完璧な男の子』で、第5回BBGP佳作&編集長特別賞受賞。 鈴木マサカズ氏、本田優貴氏、渡邊ダイスケ氏など青年誌で活躍する著名漫画家のもとでアシスタント経験を経て、本作でデビュー。
★1巻
https://amzn.asia/d/bbbiGW3
★試し読み
https://kuragebunch.com/episode/2550912964479728754
★リリース情報
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001897.000047877.html