証言に生じた“疑義”
証言によると、男性はジャニーズJr.の番組として放送されていた『ザ少年倶楽部』への出演を希望し、2002年の秋、放送センター内で行われたダンスの練習に参加。会場に来ていた喜多川氏から声をかけられ、男性用トイレの個室で下着を脱がされ、性被害を受けたという。
しかし、SMILE社が聞き取り調査を行うと……。
「男性が被害を受けたとしている時期にジャニー氏が日本にいなかったことなど、被害時期をはじめ、放送センターへの入館方法やトイレの間取りも不明瞭だったこと、また番組内でオーディションの告知などなかったことなど、証言に曖昧なところがあり、証言の信憑性が疑われました」(スポーツ紙記者)
そのため、SMILE社は男性に対して損害賠償の義務がないことの確認を求めて、昨年10月、千葉地裁に提訴したのだった。
2月10日の第1回弁論で、男性側は同社側の請求を受け入れる「認諾」を表明し、訴訟は終結した。
だが、男性の証言を鵜呑みにして、そのまま放送したNHKの責任はないのだろうか。
「NHKはその後の取材で、被害時期など男性の証言に疑義が生じたと言っています。ただ、同局の稲葉延雄会長は2月12日の定例会見で、件の男性の証言について、その時期が2002年秋ではなく、2001年である可能性があることを認めながらも、“被害があった信憑性は変わらない”と強調しました」(全国紙社会部記者)
時期だけではなく、ほかの疑わしい点に関してしっかり取材したのだろうか……疑問が残る。また、NHKは旧ジャニーズ事務所との関係性の検証について、第三者委員会を設置せず、報道による検証を行っている。第三者委の調査にしなかったことについて問われると稲葉会長は、「報道の現場で起こったことについては、報道自らが改善すべきだ」と、従来の主張を変えることはなかった。