人生最後にして最大の恋なのか
不倫を風化させるには“罪と罰”のバランス以外にも、“ソンかトクか”も見逃せないポイントと言えるのではないでしょうか。
今回の不倫で、斉藤さんと相手の男性か得たもの、失ったものを考えてみましょう。まず、相手の男性。人の噂も七十五日と言うものの、医師という信頼される立場にある男性にとって、下着をかぶっている写真が週刊誌に掲載されたことで、信用と名誉が傷つけられたことは間違いないでしょう。自業自得といってしまえばそれまでですが、財産を明け渡し、お子さんとも会えなくなり、かなりの痛手を負ったことは間違いありません。
一方の斉藤さんは今回の離婚で何を失ったのかというと、何もないのです。夫と別れ、独身に戻ったことで法的に恋愛する権利を得たわけですから、これからは誰と会っても文句を言われません。斉藤さんが『徹子の部屋』で披露したエピソードから考えるなら、不倫騒動があっても親子関係は悪くないのでしょう。この全部うまくいっている、トクしているように見えてしまうことが斉藤さん最大のネックだと思うのです。
世の中の多数をしめると思われる、悪いことをした人はそれなりの罰を受けてほしいという因果応報信者にとっては、不倫騒動を起こして相手の家庭が壊れているのに、もう片方が仕事に邁進し、恋をして、お子さんとの関係性も良好というのは納得いく結果ではないでしょう。
斉藤さんのお子さんの水嶋凛さんは女優としてデビューしましたが、今後親子共演などして“仲良し親子”、“いいお母さんウリ”して家庭の匂いをさせると、かえって過去が思い出されて「あなたは楽しそうだけど、あちらの妻子は大変だったと思うよ」と苦々しい気持ちで斉藤さんを見る人も出てくると思うのです。SNSで顕著ですが、トクしている人、恵まれた人に必要以上に厳しい視線がむけられる傾向があることを忘れてはいけないと思います。
斉藤さんの往年の不倫スタイルを知るものにとっては、今回はらしくないというか、ねちょっとしたヤバい不倫だなという感想を持ってしまいます。それが人生最後にして最大の恋なのか、それとも単なる執着なのか“外野”には判断がつきませんが、やはり今後も彼女から目が離せないと思うのでした。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」