医師による“診断書偽造”の疑い
厚生局が公表した資料には以下のような説明がある。
「個別指導を欠席する理由として提出された診断書について、発行元の医療機関に照会したところ、診断書の交付歴がないことを確認しており(後略)」
つまり、梶原院長は厚生局からの呼び出しに対して、体調不良を理由に欠席するとして診断書を提出したのだが、その肝心の診断書がニセモノだったというのだ。
「医師が診断書を偽造するなどもってのほかです。一般人が偽造しても、ももちろん問題ですが、医師が偽造するとより悪質な犯罪につながりかねません。過去には虚偽の診断書を作成したとして『公文書偽造』という重い罪に問われた医師もいます」
梶原医師は、さらに、個別指導を拒否したことでより厳しい「監査」というステージに進んだにもかかわらず、その際も個別指導のときとまったく同じ“虚偽の診断書提出”という手法で出頭を拒み、しかも、体調不良といっておきながら、監査当日に自分のクリニックでいつもどおり診療までしていたというのだ。
ここまでくると腹がすわっているというべきかもしれないが、厚生局はついにしびれを切らし、2025年2月、行政処分にいたった。最初に個別指導を通告したのが2017年というから、最初の拒否から8年かかって厚労省もついに決断したというわけだ。
「取り消し処分の多くは、架空請求や振替請求、二重請求など、診療報酬を不正に請求した際に行われることが多いのですが、今回の『銀座みゆき通りクリニック』に関しては、具体的にどんな不正があったのか、あるいはなかったのかはわからないまま重い処分に踏み切った珍しいケースだといえます」
通常の保険診療ができないなかで、いったいどうやってクリニックを運営していくつもりなのか。また、立派な経歴を持つ医師がなぜ最初の個別指導を頑なに拒み、事態をここまで悪化させてしまったのか。
クリニックに問い合わせると折り返すとの返事をもらったが、その後、先方からの連絡はなかった。