「ちさ子さん、ひとりで頑張りすぎていませんか?」

 せっかちというのは性格と思われがちですが、心理学ではせっかちを不安や予期不安(こうなったらどうしようと不安に思うこと)の表れと解釈します。不安だから焦る、早く片付けて安心したいと思うから、せっかちになるのです。

 ちさ子さんは2016年2月に東京新聞掲載のコラムに、お子さんがゲームの使用時間を破り、宿題も終わっていなかったことから、ゲーム機を手でバキバキ折ったと書いて大炎上しましたが、尋常じゃない怒りの底には「ゲームばっかりやっていたら、ヤバい子になってしまう」という不安があったのではないでしょうか。炎上には現代感覚の欠如などいろいろな理由がありますが、ちさ子さんの場合、不安が導火線となっているように思えてならないのです。

 せっかちが不安の裏返しというのは単なる一般論で、ちさ子さんにあてはまると言うつもりはありません。しかし、2021年1月20日放送の『突然ですが、占ってもいいですか?』(フジテレビ系)において、ちさ子さんは自身で20年間心療内科に通っていることを明かしています。

 そこから考えると、今回の「心療内科5軒回って論破」発言も、ちさ子さんがずっと体に不調をきたすほどのストレスを抱えており、それを心置きなく口にできるのは信頼するドクターがいて秘密も漏れない診察室の中だけで、ドクターもそれがわかっているから、あえて論破されてあげているという可能性もゼロではないと思うのです。

 家族の問題は家族全員で解決すべきと思いますが、実際は娘一人が奮闘するということはよくあるそうです。ちさ子さん、ひとりで頑張りすぎていませんか? いつも元気なテレビの中の彼女にそう聞いてみたい気持ちになるのでした。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」