演技力の低さを叩かれることが多かった

ファーストアルバム発売イベントでの前田敦子('16年)
ファーストアルバム発売イベントでの前田敦子('16年)
【写真】あれ? エラがなくなっている? 前田敦子の“ビフォーアフター”

 しかしグループ卒業から約13年も経っている元アイドルが、GP(ゴールデン・プライム)帯ドラマのヒロインの座を射止めたというのは事実。キャスティングが難航しているだろうフジテレビの作品だとしても、現在の前田が俳優として認められているからこそ、このチャンスが舞い込んできたとも言える。

 彼女がAKB48を卒業したのは2012年8月だったが、卒業前から『Q10』(2010年/日本テレビ系)のヒロインや、ドラマ『花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~2011』(2011/フジテレビ系)の主演を務めるなどしていた。

 だが正直、当時は演技力の低さを叩かれることが多かったのである。

 そんな酷評されまくる状況が続いても折れずに、地道に役者業を歩み続けていた前田。“AKB48の絶対的エース”というブランドもプライドも捨てて、チャレンジングな役も体当たりで演じていた。

 たとえば2019年の映画『町田くんの世界』では、公開当時はすでに結婚して出産もしていた27歳の前田が、制服に身を包んでヤンキー味のある毒舌JKを好演。彼女だからこそ出せる独特な空気感が絶妙で、ハマり役だった。

 なかでも彼女の俳優キャリアで特筆すべきは、2016年に主演した深夜ドラマ『毒島ゆり子のせきらら日記』(TBS系)だろう。

 前田が演じた主人公は、新聞社の政治記者ながら超恋愛体質で、常に二股をしていないと気が済まないというビッチ役。しかも、不倫はしないと決めていたのに、ライバル紙のエリート記者の男と不倫関係になってしまうというドロドロのストーリーだった。

 劇中では肌を露出した濃厚な濡れ場が何度もあり、“恋愛禁止のアイドル”としての彼女を推していたファンは、きっと悶絶したことだろう。いろいろな男と寝てしまう汚れ役も堂々と演じ切ったことで、自ら清純派のイメージを脱ぎ捨てたのだ。