今作の好きな場面に、"誰かが、誰かの名前を呼んでいるシーン"と語った綾野。「龍彦」が自分を救いに来た"王子様"だと慕う風俗嬢の「アゲハ」、ライバルのスカウト事務所に所属し、龍彦に目をつける「秀吉」など、それぞれが名前を呼び合いながら紡いでいくストーリーに、切なさから胸が痛くなる瞬間も。
「こんなに登場人物同士が名前を呼び合っている作品って、ないだろうと思う。根本的なことですが、いいことだなって。なにを言われるのが、うれしいかって、名前を呼ばれることが一番じゃないかと思うので。僕自身、基本的に相手を"ねぇ"とかじゃなくて、名前でしか呼ばないです。この作品を見た方に"綾野"ではなく"龍彦"って呼んでもらえるようになったら、うれしい。役者冥利に尽きます」
最後に、綾野をアゲてくれるものはなにかと聞くと、
「テンションを上げてくれるのは、人です」
お酒は? には、微笑みで返してくれた。
アヤノメモ1:「基本的に自分を出さないのが僕のやり方」
これまでになく弾けた龍彦の演技。「僕じゃないからです。これっぽっちも僕がいないです。それは毎回そうで、基本的に自分を出さないのが僕のやり方。自分の19歳(原作の龍彦の年齢)のときと比べると、まっすぐで強い男だと思います。精神的にも肉体的にも、とても勝てない」
アヤノメモ2：「牛丼なんて、ほとんど噛まない」
四番バッターばかりの豪華キャスト 映画『新宿スワン』(5月30日全国ロードショー) 出演：綾野剛 山田孝之 沢尻エリカ 伊勢谷友介 (c)2015「新宿スワン」製作委員会
映画冒頭の勢いよく食べる食事シーンについて「単純にあれくらいの年齢(原作の設定の19歳)の子って、お米は飲むもの。牛丼なんて、ほとんど噛まないです。たまに、リズムを作るために噛みますけど、あくまでも、リズムを作るために。身体の中に、きっちり消化してくれる体力があるから」
撮影／伊藤和幸 スタイリスト／長瀬哲朗 ヘアメーク／石邑麻由
