トランプ関税が日本に及ぼす影響

 では、物価高にはならないと考えてよいのだろうか?

「日本は食品のなかでも肉、穀物などをアメリカから輸入しています。ただ、アメリカもこれらを生産するための飼料などは他国から輸入しているケースもあり、当然コストが上がる可能性があるので、日本でも米国から輸入する肉や小麦、大豆など穀物の価格が高騰することもありえます。また現段階では何とも言えませんが、日本も報復関税をするとなれば、医薬品も多く輸入しているので薬の値段も上がるかもしれません」

森永卓郎さんの長男で経済アナリストの森永康平さん
森永卓郎さんの長男で経済アナリストの森永康平さん
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 さらに懸念されるのは、アメリカに多くの車や部品を輸出する日本の自動車産業だと森永さん。

「自動車を1台つくるのに約3万点の部品が必要です。もし日本の自動車の輸出が減ると、メーカーだけでなく部品製造など業界に勤める約560万人、家族なども合わせて1120万人以上が直接、影響を受けることに。 

 さらに、生活していくうえで必要な産業などへの波及も考えると、日本のGDPの1%くらい押し下げてもおかしくはない状況です。最近は賃上げなどの明るい話もありましたがその波は止まるでしょうし、景気が悪くなっていく中で、肉や穀物など生活に関わるものの値段が上がっていく形になり、物価高騰の数字以上に体感的には生活が苦しくなるのでは」

 石破首相はトランプ氏とどのような交渉を行うのか、目が離せない状況が続きそうだ。


取材・文/住田幸子