「こうやってインタビューなどで話をすると、ビックリされるくらい家族の仲がいいんです。だから、映画の冒頭のシーンで、母親の白髪染めをするのも自然に演じられました。少なくとも“こんなことできる!?”っていう感覚ではなかったですね」
ごく普通の幸せな5人家族に見えるけれど、竹野内豊が演じる父親は泥棒で、母親役の松雪泰子は結婚詐欺師。さらに血のつながりが一切ないという複雑な過去を持つファミリーが絆を試される映画『at Home アットホーム』。この作品で、偽造紙幣作りに手を染める"長男"淳を演じているのが坂口健太郎。
「生まれ育った環境は、それぞれ違うけれど、本当の家族よりも強い絆や愛がある。もしかしたら、血のつながりがないからこその固い結束なのかもしれない。淳のように、孤独だと感じさせる実の両親に対しての激しい怒りみたいなものがないので、自分がこれまで経験した小さい鬱憤をどう変換したら彼の気持ちになれるかということは、結構考えました」
作品では、本当の父や母、弟に対して狂気に満ちた目を見せる彼。プライベートでは、ほとんど怒ることがないそう。
「なるべく、たまらないように鬱憤を吐きだそうとしているのかもしれないです。でも、その吐き出し方も大好きなお酒を飲んで、ベロベロになるってことでもないし、友達に熱く語るっていうことでもない。家族や友達と一緒にいて、食事をしたりしているうちに自然と消化できるんです。周りからもなんで解消できるのか、不思議だって言われます」
マネジャーからは「怒らない、感覚的な人」と言われるそう。“感覚的”というのは?
「失敗をしても、あまり引きずらない。夜、1日を振り返ったときに、今日は失敗しちゃったけど、1週間後は大丈夫だろうって(笑い)。楽観的というか、軽く構えがちなところが“感覚的”と言われる理由かも。でも、あんまり考えすぎちゃうと、自分がダメになっちゃう気がするんです。だから、軽くというより、柔らかく受け止めたいなって」
“家族”をテーマにした今作に出演したことで、自分が作るファミリーについて考えたことがあったかを聞くと、
「なかったですね(笑い)。まぁ、ぼんやりと、10年たったら結婚しているのかなとは思ったりしますけど。10年後といえば、34歳なので。もし家族をつくるとしたら、相手はいつも笑っていてくれる人がいいです(笑い)。僕が、けっこう適当な部分があるので、おおらかな人がいいかもしれないですね」