『レモンケーキ』が再ブームになるなど、昭和に流行ったものが再注目されている。そこで一世風靡した昭和の玩具の裏側について取材した。
◆ローラースルーGOGO
1974(昭和49)年発売
‘74 年に発売された『ローラースルーGOGO』は自動車メーカーでもある本田技研工業(ホンダ)が開発した遊具。当時の本田技術研究所の技術者であり、この開発にたずさわったという吉岡伴明さんに話を聞いた。
「当時のホンダは、私が所属していた設計室では車以外にもスノーモービルや3輪バギーなどの研究や開発をしていて、そのほかにもいろいろと新しいものを模索していました。そのころアメリカで流行し始めたスケートボードがヒントとなって、いろいろ手を加えて『ローラー~』が生まれたんです」
試作品ではエンジン付きも作られ、社内では好評だったが、法律の壁もあって断念した。最終的に、キックレバーのついたタイプに落ち着き、製品化された。
「最初はあまり売れませんでした。われわれも設計担当でありながら、販路を探したりしましたよ」(吉岡さん)
ところが、テレビでCMを放送したとたんに人気に火がつき、最盛期には月に10万台も売れたという。
「当時2輪が下火になっていたので、2輪の工場に割り込んで『ローラー~』を生産することになりましたが、2輪工場にとっては救世主になったわけです」(吉岡さん)
大ヒットとなって体重制限が緩和された大人用も作られたが、売れ行き絶好調というときに立て続けに事故が起きてしまった。
「『ローラー~』の安全性については問題ないと証明されましたが、結果的に売れ行きはゼロになってしまいました」(吉岡さん)
5500円という値段は当時、新幹線の東京~大阪間の料金と同等だったが、総計で100万台が生産された。