ドローンという得体の知れないものがチラリチラリと耳に入ってきたりして、大の大人たちはどう対処していいか迷っている。よくわからないから、困惑している。
まるで携帯電話の出始めに、電磁波で脳に悪いと噂されていたときみたいだ。
東京・浅草神社の三社祭で小型無人機「ドローン」を飛ばすと示唆する動画をインターネットに配信していたとして、横浜市の15歳の少年が逮捕された。
少年は「ニコニコ生放送」で中継をする「生主(なまぬし)」として有名な存在で、大人の支援者がつくほどだった。
その支援者たちはドローンを飛ばしてみたい、そう思ったに違いない。それで支援するのがいいとか悪いとかは別として、自分には対処できない新しいものに対しての興味を若者に託したのだ。
この少年はドローン以外でもそんな「応援おじさん」にとって、眩しい存在だったようだ。世の中がなにか新しい方向に動こうとするときには、危険だと反対されたり、怖がられたりする。新しい発想を生み出すものたちを阻止していたら、発展は遠回りする。
ドローンは空の産業革命とも言われ、世界中で注目されている。3年後ぐらいには新聞配達や近くのスーパーから野菜が届くかもしれないぐらいの勢いだ。
結局、「応援おじさん」をはじめ、ボクたち大人がしっかり支えさえすればいい話だ。
そして、そういう少年を応援すればいい。それなりの実力の持ち主なら、よい方向にその力を使うようにすればいい。日本の未来は、彼らにかかっているのだからね。
〈プロフィール〉
神足裕司(こうたり・ゆうじ) ●1957年8月10日、広島県広島市生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。学生時代からライター活動を始め、1984年、渡辺和博との共著『金魂巻(キンコンカン)』がベストセラーに。コラムニストとして『恨ミシュラン』(週刊朝日)や『これは事件だ!』(週刊SPA!)などの人気連載を抱えながらテレビ、ラジオ、CM、映画など幅広い分野で活躍。2011年9月、重度くも膜下出血に倒れ、奇跡的に一命をとりとめる。現在、リハビリを続けながら執筆活動を再開。復帰後の著書に『一度、死んでみましたが』(集英社)、『父と息子の大闘病日記』(息子・祐太郎さんとの共著/扶桑社)、『生きていく食事 神足裕司は甘いで目覚めた』(妻・明子さんとの共著/主婦の友社)がある。Twitterアカウントは@kohtari