6月25日、警視庁捜査1課が東京都渋谷区上原に住む飲食店アルバイトの佐藤一麿容疑者(29)と、静岡県富士市今宮の農業・秋山智咲容疑者(23)の逮捕を発表した。
「目立たなくて、暗くて、ウソつきで、何を考えているかわからない変なやつだったので、ああ、あいつならやりかねないと思いました」(小・中学校時代の1学年先輩)
いずれも容疑は死体遺棄。2人は、2年前の7月19日ごろ、秋山容疑者名義の世田谷区のマンションから、佐藤容疑者が交際していた阿部由香利さん(当時25)の遺体を運び出し、神奈川県相模原市緑区の墓地に埋めたというもの。逮捕前日、土の中からブルーシートにくるまれた遺体の頭部が発見され、司法解剖で阿部さんと判明した。
「2人を任意で事情聴取していたなかで、秋山容疑者から埋めた話が出てきた。秋山容疑者は容疑に無言でうなずき、佐藤容疑者も“間違いありません”と認めている」(捜査関係者)
ただ、秋山容疑者は、
「人間とは知らなかった。犬の死体だと思っていた」
と供述し、佐藤容疑者も殺したのではなく、
「気づいたら死んでいた」
と主張しているという。被害者の阿部さんは東京都青梅市の出身。10代で“デキ婚”し、2006年4月に長男を出産した。
「子どもと3人で東京都国分寺市に住んでいたものの、1年足らずで別居状態になって離婚。若いシングルマザーとして風俗業で働くようになった。そのころ出会ったのが、当時、駒澤大学の学生だった佐藤容疑者なのです」(全国紙記者)
やがて2人は付き合うようになったが、そのころから阿部さんの長男の姿が消えてしまう。’07 年9月、阿部さんの実家で両親が目撃したのが最後だ。その後、母子は’10 年10月に新宿区に転入届を出している。しかし、’12 年4月、小学校の入学式に母子は姿を見せなかった。この間、新宿区子ども総合センターは、
「何度も連絡をとり、自宅を15回も訪問したが、接触できなかった」
と記者会見で発表している。母親の阿部さんもまた’13 年3月、歯科医院へ通院した記録を最後に、姿が見えなくなった。翌’14 年12月、「母子2人と連絡がとれない」と親族が警視庁に捜索願を提出したのである。
捜査当局が、阿部さんの交遊関係を調べているなかで、佐藤容疑者が浮上。その佐藤容疑者の元カノが秋山容疑者だった。佐藤容疑者は’13 年前後、阿部さんと秋山容疑者と二股交際していた可能性が高い。なぜ、佐藤容疑者はそんなにモテたのか。
「金持ちで遊び人のデキる男をアピールしたからとみられている。慶応ボーイを名乗り、フジテレビ勤務を装っていたけど経歴は全部ウソ。秋山容疑者も上昇志向の強い野心家というから、“使える男”と思って慌てて飛びついたのではないか」(スポーツ紙記者)
<取材・文/フリーライター山嵜信明>