「子どもたちのスマホ普及率が高まったことを背景に、LINEなどの新しい形態に対応しきれていない部分もある。反面、学校で指導をしているから、この程度にとどまったと言えるかもしれない」
と藤川教授。
悪口などを書かれた子どもたちはどう対応したか。
都教委の調査に37・6%が「我慢した」と回答している。次いで「友達に相談」は16・9%、「家族や親戚に相談」は16・0%で、「先生に相談」は7・4%と低かった。「いじめ相談ホットラインに電話」は1・9%、「教育相談センターに電話」は1・6%と専門機関への相談も少ない。
「先生が相談相手にならないのは、学校がネットに否定的なため。相談しても“使わないほうがいい”と言われかねない。子どもたちからすれば、保護者はスマホを使っていることを知っているため相談しやすい」(藤川教授)
調査結果を受けて、学校側はどう動くのか。
「書いた内容が悪口なのか、誤解して伝わったのかで対応は変わる。誤解して伝わった場合は表現力の稚拙さが原因だ。表現力を向上させる指導をする。真に悪口の場合、“悪口は書かないようにすべき”と指導するしかない。いじめはアプリが起こすわけではない。かつてはグループの日記で悪口があったように、心の問題だ」(都教育庁指導部)
前出の藤川教授は「携帯電話の購入時、保護者はマナーやモラルについて注意すべきだし、日ごろから話題にするべき。中学生までは自室ではなくリビングで使わせれば様子を見ることができる」と助言する。もちろん、学校での指導だけでは限界だ。
「家庭や事業者との連携が必要だ。トラブルの背景には、買い与える親、利用上のルールを作っていない家庭といった問題がある」(都教育庁)
人知れず子どもたちが追い込まれる前に何とかしたい。
ジャーナリスト・渋井哲也