11月12日に東京・元赤坂の赤坂御苑で行われた『秋の園遊会』での皇太子ご夫妻。
その時の様子について「冒頭の三笠山で、皇太子さまは笑顔で雅子さまに話しかけられていて、今回のご出席は、とてもうれしかったのだとお見受けしました」と語るのはジャーナリストで文化学園大学客員教授の渡辺みどりさん。
毎年、春と秋に天皇・皇后両陛下の主催で、各界の功労者など約2000人が招待され、両陛下や皇族方が労をねぎらわれるこの行事に、皇太子妃雅子さまが最後に出席されたのは'03年10月のことだった。
12年前といえば、皇太子ご夫妻の成婚10周年で、当時2歳になる愛子さまが歩けるようになったことや、“公園デビュー”を果たされたことなども『週刊女性』本誌は報じている。
「園遊会に出た2か月後の12月、雅子さまはストレスによる帯状疱疹で入院し、長期療養が発表されました。年が明けた3月には軽井沢にある雅子さまの実家・小和田家の別荘で転地療養をされる異例の事態に。
皇太子さまは、そんな状況に業を煮やしたのか、5月の訪欧前の記者会見で“雅子のキャリアや人格を否定する動きがあった”という『人格否定発言』がありました。
その後、7月に雅子さまの病名が『適応障害』であることが発表され、皇室が大きく揺れた時期でしたね」(宮内庁担当記者)
そんなご病気とはいえ、赤坂御用地という、お住まいの東宮御所の近くで行われる行事に長い間、ご出席できなかった理由を元宮内庁職員で皇室ジャーナリストの山下晋司さんが解説する。
「以前から皇太子妃殿下にとって、園遊会はハードルが高いとされる行事でした。取材カメラが入り、約2000人の招待者の注目を浴びながら、多くの人と接しなくてはならず、両陛下や他の皇族方もいらっしゃるので、距離感にも気を配らなくてはなりません。
また両陛下がいらっしゃる場で体調不良による途中退席は避けたいということもあるでしょうから、この12年間、ご出席の判断ができなかったのだと思います。
今回は、そういったご負担の大きい部分がほとんどない冒頭の式典と苑路を少し歩かれただけだったので、お出ましが可能だったということでしょう」
雅子さまは当日の14時15分ごろ、両陛下と皇太子さまに続いて御苑の三笠山と呼ばれる丘に他の皇族方とご整列。
皇宮警察音楽隊による『君が代』の演奏の後、三権の長から挨拶を受けられた─。
「この後、両陛下を先頭に三笠山から招待者が並ぶ順路に移動し、お声がけをします。
当初、雅子さまは、ここで後ろに下がり退席する予定でしたが、両陛下の“せっかくの機会なので、招待客のお顔が見えるところまで少し歩いてから退出してはどうか”とのご意向に従い、一部の招待客と言葉を交わされました」(前出・記者)
皇太子さまに続き招待客に笑顔で挨拶をされ、20~30メートル進んだところで挨拶をしながら幕の間を通り、計10分ほどで会場を後にされた雅子さま。
この日、両陛下と歓談した漫画家の水島新司さんや、クリエーティブディレクターの佐藤可士和さんとの交流はなく、招待者の中には「雅子さまもいらしてたんですか?」という声もあったが─。
前出の山下さんは、こう強調する。
「招待者とのご歓談がほとんどなしでも園遊会に出席されたことになるのかという意見もあるかもしれませんが、できることからおやりになるということでは、意義のあることだと思います」