夫婦別姓を認めない民法の規定が憲法に違反するかどうかについて、最高裁で「違憲ではない」という判決が出た。名字を変えることに抵抗がある人や、「同じ名字にしてこそ家族」と考える人も。そこで、街の声を聞いた。
「同じ家族である以上、同姓であったほうが絆や信頼感が育まれると思います。名字が違う実の子どもには違和感を覚えるし、夫婦が別姓を受け入れても周りの親族は理解に苦しむケースだってあるはず」(40代・男性)
「バカバカしい! なんで同じ屋根の下に住んでいるのに違う姓を名乗らなければいけないのか。嫁さんの名字にしたいなら婿になればいい。特に理由がないのなら、亭主の名前を選べばいい。伝統を壊すとろくなことにならない!」(60代・男性)
「家族関係がいびつになる」「子どもがいじめられそう」など、新しい家族観に拒否反応を示す反対派。対して、賛成派は「現実的な問題を考えたことがある?」と真っ向から反論。
「うちは事実婚。双方とも自営業で会社経営や土地建物を所有していたため、姓を変えるとなると、相当な手続きとお金が必要となる。名義上、家族になるためにかなりの額の上納金を国に納めなくてはならない。それこそ別姓反対派の方だって、私たちと同じ立場になったらかなり戸惑うと思いますよ」(40代・女性)
「仕事上、旧姓で活動しているのですが、保険証や免許証など社会的に身分を証明するものが、結婚後はすべて夫の姓になってしまい不便な思いをした。カード類も旧姓名義で作ることが難しいと言われたので、夫と話し合った結果、ペーパー離婚しました。今でも夫とは仲がいいですが、結局、今の日本は紙切れ一枚で夫婦や家族を判別するんだなって悲しかったです」(50代・女性)
「同姓でも家族関係がグチャグチャなところはあるし、日本は尊属殺が国際的に見ても多い。あと、現代の子どもがいる家庭は、ひとり親や外国人家庭など複雑な家が多いから、名字の違いなんて気にしてられないですよ」(30代・女性)
さまざまな夫婦別姓に関するアンケートを見ると、男女約7割は別姓に賛成の意見。大多数の女性が賛成支持を表明しているように、名前が変わるデメリットを感じ取る女性は多い。また、名前が変わった男性からはこんな切実な意見も。
「私はひとりっ子ですが、妻が珍姓だったため妻の名字を選んだ。相手の親は喜んでくれたが、しぶしぶ受け入れた実父の顔が忘れられない。結婚後、名前が変わったことで職場でもいろいろと揶揄された。同姓が当たり前と思っている人は、想像力が足りないです」(40代・男性)
「子どもがいじめられそうとか偏見でしょ。何が恐ろしいって、そういう偏見を持っている人は、別姓の家族や子どもに対して“白い目で見られて当然”という思い込みがありそうなこと。じゃなかったら、なんでいじめられそうなんて発想が出るの? 配慮にかこつけた差別主義者だと思います」(40代・女性)