20160419_curling

 世界大会で男女通じて初のメダルに輝いた女子カーリング日本代表『ロコ・ソラーレ(LS北見)』(本拠地・北海道北見市常呂町)。

「日本がここまで健闘するとは誰も思っていなかったんじゃないか。選手の努力が大きい。みんなメチャクチャ素直なんですよ。素直で自然体で、それが力の源になっている。私にとっては、すごく素敵な時間でした」

 銀メダルを引っさげて帰国した本橋麻里(29)は、成田空港の会見で試合に出たメンバーをそう称えた。

 世界ランク9位ながら上位国を連破。チームを立ち上げた精神的支柱の本橋は、昨年10月に男児を出産したばかりで、今大会はリザーブに回った。

 しかし、若い選手が結果を出した。成績もさることながら笑顔がよかった。ショットが決まるとうれしそうに笑う。イマイチでも笑顔で仲間を励ます。持ち前の明るさでプレッシャーをはねのけた。

「ヤーップ、ヤップ、ヤップ、ヤップ(氷上を掃いて)」

 常に大声で、指示を出し続けた。

 オペラ歌手のような腹に響く声を出す吉田知那美(24)は「声が大きいのは生まれつきです。テレビ中継用のマイクをつけていますが、実際のリンクでは各国の選手が大声で叫んでいるので、かき消されないように大きな声を出しています」とニッコニコ。

 声の出しすぎで大会中にかすれ声になったスキップ・藤澤五月(24)は「叫びすぎました。トローチをなめているんですけど全然治らなくて」とプチ反省。

 会見では、隣に座った吉田知那美が通訳するなどチームワークのよさをみせた。女子は'18年平昌五輪の出場枠獲得に大きく前進した。

 五輪では、日本オリンピック委員会(JOC)から金300万円、銀200万円、銅100万円の報奨金が出る。団体競技は山分けではなく、登録メンバー全員だ。ほかに各競技団体や選手の所属企業から出ることも多い。報奨金はいくら出るのか。

「報奨金は予定していませんでした。想定以上の好成績でしたから。4月16日の理事会で話し合われるかもしれませんが、4月1日時点で報奨金に絡む議案は出そうにありません」(日本カーリング協会・倉本憲男事務局長)

 '11年サッカー女子W杯で優勝した“なでしこジャパン”の場合、日本サッカー協会から特別ボーナスを含めて650万円、公式スポンサーから100万円の計750万円がメンバー全員に出た。

 '15年W杯は準優勝して1人あたり推定400万円。関係者によると、国際サッカー連盟(FIFA)から賞金が出るのが大きい。しかし、世界カーリング連盟からお金は出ない。

 地元はどうか。北見市では女満別空港で市長ら約200人がLS北見を出迎えた。

「市条例では、スポーツや芸術などの輝かしい活躍を対象とする奨励表彰の栄誉賞候補と考えられます。賞金はありません。賞状と記念品の盾とかトロフィーを贈呈します」(北見市総務担当)

 北海道庁はどうか。

「スポーツ関連の各賞を贈ることがあります。賞金の前例はありません。成績や道民の盛り上がりなどを考慮し、知事が決めます。現段階では白紙です」(スポーツ振興担当)