覚せい剤取締法違反に問われた元プロ野球選手・清原和博被告(48)の初公判が17日午後、東京地裁(吉戒純一裁判官)で開かれた。傍聴席20席を求めて3769人が抽選に並ぶ注目度の高さだった。
弁護士は法廷で、「父親に手紙を書きましたか?」と清原被告に尋ねると、こう答えた。
「はい。生まれて初めて書きました。謝ることと、初めて買ってもらった青いグローブのこと、親不孝な息子を許してくださいと書きました」
清原被告は「間違いありません」と起訴事実を認め、家族の話に何度も触れた。
冒頭のやりとりは、裁判官に反省をアピールする狙いとみられる。罪を悔い、著名人として報道で社会的制裁を受け、再犯防止のため家族や友人がバックアップする状況にあるなどと訴えるのが、刑の執行猶予を得るためには必要だからだ。
父・洋文さんから清原被告に返信された手紙の一部が読み上げられた。
《和博が手紙を書いてくれたのは生まれて初めてのことでした。ただただ私に“ごめんなさい”と謝っていました。更生して少しでも人の役に立つ人間になり、もう絶対にクスリに手を出さないと書いてありました。まだ、やり直せる。親としてできる限りの支援をしたい》
弁護士の説明によると、大阪・岸和田で暮らす洋文さんは狭心症を患って新幹線移動が難しい。母・弘子さんは認知症で介護施設に入っており、その世話もある。洋文さんは「本来ならばすぐに上京し、会って、証人をしたい」と思いながら手紙を書いたという。狭心症の診断書も法廷に提出した。
弁護士とのやりとりが続く。
――父親の手紙は読みましたか。
「はい。読ませていただきました」
――どう思いましたか。
被告は泣きながら言った。
「情けないし、親不孝な息子で申し訳ないと……。病気を患っているのに“オレも一生懸命、頑張るから和博も頑張れ”と言っていました。感謝しています」
弘子さんが清原被告の逮捕をどう受け止めているかは明らかにされなかった。ただ、弘子さんはかつて清原被告のトレーニングに伴走したり、清原被告が母の日にはプレゼントを贈っていたという事実が弁護側から示された。
検察側は冒頭陳述で、清原被告は遅くともプロ野球選手を引退した2008年ごろから覚せい剤を使うようになったと述べた。清原被告は現役時代の使用については否定した。いずれにせよ、常習期間8年以上は確定している。
供述調書などによると、引退後、コーチや監督など指導者の声がかからず、目標を失ってクスリに逃げた。自宅は子どもがいて使えなかったのでホテルで使ったという。