《高校を卒業するまで、旅行も全く好きではなかった私にとっては、ほぼ津山だけが自分の世界でした》
岡山県津山市で4月に発行された施策や市の概要をわかりやすくまとめた“市勢要覧”。そんな広報的な役割をもつ冊子に、B'zの稲葉浩志が寄稿したことが話題になっている。
「稲葉さんは、津山市がご出身で高校卒業まで過ごしました。実家の化粧品店などを目当てに同市を訪れるファンが多く、実兄が社長を務める菓子店と母校・県立津山高校を結ぶ観光ルートもできています。'00年には、市として初の市民栄誉賞を受賞しているんです」(芸能プロ関係者)
市勢要覧の反響は実際、どうなのか。
「郵送での取り寄せが可能なので、県外の方からの問い合わせが多いです。多い日は1日に100件以上の電話がくることも。市の基本計画に即した内容を出す市勢要覧を発行するのは10年ぶりですが、反響の大きさに驚いています」(津山市秘書広報室の担当者)
“Made in Tsuyama”と題し、故郷への思いをつづったメッセージが寄せられた今回。音楽の原点についても語られており、自宅2階の部屋でステレオのボリュームを上げ、ロックを聴き続けた日々を振り返っている。
《イギリスやアメリカなどからやってきたロックソングは津山のその部屋で毎日のように鳴らされ続け、親の怒鳴り声や蝉の声や雪景色などと混ざり合い、独自の音楽体験となり、私の体に刻み込まれ血となり肉となりました》
稲葉以外にも、'15年には篠原涼子が故郷である群馬県桐生市の観光ポスターに登場している。
「大胆に肩を出して黒いドレスを着た篠原さんが、まっすぐカメラ目線でポーズ。ローマ字で大きく“KIRYU”という文字が並んでいて、新ファッション誌の創刊か、化粧品などの新商品広告かと見間違うようなハイクオリティーなポスターでした」(広告代理店関係者)
このたび、稲葉が登場した市勢要覧は1部300円の有料冊子。実際、どのくらいの数が売れているのだろうか。
「初版は2000部スタートでしたが、すぐに完売しました。その後に5000部を増刷しましたが、それでも数が追いつかず、さらに2万部の追加増刷をしました。前回も稲葉さんに登場していただきそのときは無料提供でしたが、反響がとても大きかったんです。そこで今回は、多くのみなさまにご提供するために有料にすることで財政的にも増刷が可能となりました」(前出・津山市の担当者)
10年前は5000部だった部数が、今回は2万7000部。さすが稲葉、というところだろう。
《私は津山出身ですが、歌い手としての稲葉も『津山産』だと胸を張って言えます》
日本ロック界のカリスマのルーツは、誰にでも存在する“ふるさと”だったようだ。