大河ドラマ『真田丸』では、上杉謙信という偉大な武将の跡を継ぎ、越後の土地を守る景勝を演じる遠藤憲一。
「これ、言っちゃっていいのかな……、景勝については、初めに大河ドラマ『天地人』を見ちゃったんですよ(笑い)。そのときのイメージは、自信がなくて無口ということかな。そのあと三谷さんと話して、景勝は生まれる時代を間違えたというか……、あの時代を生きていくには純粋すぎた人なんじゃないかなと思いました」
真田家には頼られては裏切られ、と“食えぬ男”昌幸(草刈正雄)に翻弄される彼を演じる遠藤は、景勝という人物をこう解釈する。
「謙信に対する尊敬と、受け継いだ“義”のために生きるという思いはあるけど、置かれた環境のために理想と現実の違いを痛感しているのが景勝です。人質として預かった信繁(堺雅人)に、“義”に生きる道を伝えましたが、信繁の中に、まっすぐに生きていく何かを感じたんでしょうね」
信繁を春日山城に迎え、一緒に過ごす時間の中でお互いに心を通わせていく姿が印象的だった、12話の『人質』。
「堺さんが上杉のセットに来たとき“全然、真田家と雰囲気が違う”って驚いていました。三十郎を演じる迫田(孝也)さんも“人数が少ないんですね”と言っていたけど、それまでは景勝と直江兼続(村上新悟)のふたりっきりだったから(笑い)。
今日は4人だから、すごく多いほうだよと言ったら、迫田さんは“そうなんですか”って驚いていましたね」
以前、真田家の撮影現場を“ホームドラマ”と堺は表現していたが、遠藤はそれぞれの家が持つ、役割があると話す。
「徳川家康(内野聖陽)は少しデフォルメされて滑稽に表現されているし、北条氏政(高嶋政伸)は狂気みたいなものが全面に出ていますよね。そういうことで考えると、上杉は正攻法というか、まっすぐに演じているから静かな印象を持たれるかもしれないですね」
遠藤自身、『北条時宗』(三浦光村役)『平清盛』(北条時政役)など、6本目の大河。ドラマに対する思い入れは?
「これまでは途中参加だったけど、『真田丸』は記者発表から始まって、初めての放送開始前からの参加なんです。番組宣伝を見たり、タイトルバックの制作ドキュメントを見たりしていると、関わっているひとりひとりが重いものを感じながら1年間やるんだ、という覚悟のようなものを感じています」