子どもが中学生ぐらいになると、子育ても一段落し、夫婦ふたりの時間が増えてくる。そんな時期に意外と多くの方が陥っているのが、夫と一緒に過ごすのを苦痛だと感じてしまう「夫と一緒にいたくない症候群」。
ストレスや問題の原因は数あれど、世の中には幸せな夫婦ももちろんいる。延べ2万人以上の夫婦のお悩み相談に答えてきた夫婦問題カウンセラーの木村泰之さんはこう分析する。
「幸せな夫婦は、まずお互いへの理解が深いという特徴があります。例えば、妻の仕事や趣味、生きがいを応援してくれる夫。夫がやろうとすることを内助の功で支える妻という関係です」
また、幸せを感じさせる夫婦の象徴として、人生観を持っていることもあげられるとか。
「難しいことではなく、夫婦で好きなことをやって少しでも世の中の役に立ちたいとか、夫婦で人と触れ合うことを喜びと感じる人生観です。これは他人から言われたことではなく、自分たちでやろうと思っている行動ですから、長続きします。さらに、こういうご夫婦の周りには、応援してくれる人が数多くいるのです」
感情があまり上下しないのも、幸せ夫婦の共通点。問題を避ける秘訣があるのか?
「問題が起こらないわけではなく、何か起こっても解決能力が高いのです。不安をむやみに増やさないことを考え、心を安定させる術を持っているので、日ごろから幸せな時間が多い。
また、ふたりでやるべきことがあるというのも大きいですね。夫婦でライフワークがあったり、社会貢献活動をしていたり。それによって共通の話題ができますし、協力しますから」
そして何より、お互いを思いやっているということ。
「パートナーが自分を好きでいてくれることも大事ですが、まず自分がパートナーに何かをしてあげたいとお互いに思っているのです」
【幸せな夫婦5つの特徴】
1、お互いに理解がある
2、夫婦に人生観がある
3、夫婦の気持ちが安定している
4、夫婦でやるべきことがある
5、お互いに思いやりがある
では、どうすれば幸せな夫婦になれるのだろうか? どんな夫婦でもできる5つのステップを紹介。
「まずひとつ目は、パートナーのことをわかったつもりにならないこと。わかったと思ったときから努力が止まり、徐々に関心がなくなり、気がついたときには大きな溝ができるのです。常にわからないことがあると思えば、夫婦に気づきが生まれ、幸せを求める気持ちが出ます」
わからない部分を探すことに慣れてくると、次は少しずつ変化することに気づくはずだ。
「パートナーだけでなく、自分も考え方が変わっていきます。数年前より慎重になるかもしれませんし、気弱になるかもしれません。その変化を感じながら夫婦の関係を作ることが必要です」
変化に気づき、パートナーの心理に関心を持つと、さらにわかることが。
「パートナーの心理は自分の心を映していて、“夫婦は鏡”ということがわかってきます。こうしてお互いの心理を読めるようになると、悩みが出ても自分ひとりではないという安心感が生まれ、夫婦という形式そのものより、わかり合える人がいることが大事と感じるようになります」
3ステップを経て、次に芽生えるのは感謝の気持ち。
「夫婦でいることが当たり前ではないと思い、巡りあえたこと自体に感謝が出てきます。ここまでくると、ふたりでできることが自然に増えてライフワークとして取り組めるようになります。この5ステップを、ひとつずつやっていけばいいのです」
【幸せになるための5つのステップ】
1、わかったつもりにならない
2、考え方は常に変わることに気づく
3、パートナーの心理を読む
4、夫婦のありがたさを感じる
5、夫婦でできることを高める
イラスト/きくちもも