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 共働き夫婦の増加などを背景に、“孫育て”に奮闘する祖父母世代が増えてきた。親世代とのしつけの違いや、お互いへの不満の解消などを目的に、シニア向け指南書を発行する自治体もある。両世代が歩み寄り、協力し合って子・ 孫を育てていくために大切なことは?

「赤ちゃん言葉で話しかけるのをやめてほしいと頼んだことがある」

「咀嚼物を与えたり、お箸の共有、ペットボトルの回し飲みが衛生的に気になる」

「ジェンダーフリーの時代になりつつあるのに、男女の社会的役割がこびりついているのが面倒くさい。長女に“お嫁に行けないぞ”とか“女の子なんだから”と言っている。抗議をしたいけど、100%わかってもらえないので、我慢している」

 祖父母に頼むことにより、ありがたい・助かると思う一方、不満や不平などを感じることもあるという、週刊女性が聞いたパパ・ママの声の一部だ。働くパパ・ママ世代を助けるために、元気な高齢者による“孫育て”が増えている。

「ベビーシッターに頼めばお金がかかることを無料でやってくれて、突然のお願いにも割増料金はかからない。親世代は自分たちの時間も持てる。

 祖父母世代にとっては、生きるエネルギーが得られる。孫は、親以外からの愛情を受けられることも大きい」

 NPO法人孫育て・ニッポンの棒田明子理事長がそう説明するように、親子孫3世代にとっていいことずくめの“孫育て”だが、子育ての常識が昔と今では大きく変わってきていることなどが原因で、世代間の溝が生まれ、トラブルに発展してしまうことも。

 著書『小学校に入る前に親がやってはいけない115のこと』(KADOKAWA/中経出版)などの子育て本を執筆している立石美津子さんは、子育てにおける世代間のギャップの質をこう見抜く。

「愛情を持っていい子に育てたい、幸せになってほしい目的は同じで、方法論が違うだけ。厳しく育てる、甘く育てる、どちらも間違っていない」

 問題の芽を摘むために、“孫育てガイドブック”の発行に乗り出す自治体が増えている。『さいたま市祖父母手帳』を無料配布しているさいたま市子ども未来局子ども育成部子育て支援政策課は、こう語る。

「祖父母世代と親世代のどちらが正しい、といった比較をするのではなく、昔と今ではやり方が変わってきているものもあるという違いに気づいていただき、両世代で歩み寄ってもらうのが目的です」

 同手帳を読んだ立石さんは、こうアドバイス。

「うまく活用すれば、娘や嫁と祖父母の直接対決を避けて間に入り、冷静に相手を説得するツールとして使うことができるでしょう。意見が食い違った時も“私はこう思う”ではなく、“栄養士から言われた”“保健師に言われた”のほうが角が立たないのと同じ」

 同冊子には、子育ての新常識や孫を事故から守る例が記載されており好評だという。さらに加えたい項目として、棒田理事長はこう話す。

「“孫とやりたいこと”“祖父母をねぎらう大切さ”の項目が入っているといいですね。“子育て世代を応援しよう”という呼びかけは多いですが、子どもを預かると、祖父母もとても疲れる。

 ですから私は、祖父母世代には、断る勇気と、自分の健康を第一に考えましょう、と伝えています。ジイジかバアバが倒れたら親夫婦も回らなくなります」