4月1日に会社に戻ると人事に告げていたが、認可保育所の2次募集にも落選、3月時点で預け先が決まらなかった。3月になると連日、人事から電話がかかってきた。復職の10日前に、民間の保育室から「転勤で子どもが1人退園するので入園できます」という連絡があり、バスで通園する場所ではあったがラッキーだと思い、夏木さんは迷わず入室を決めた。

「出産の日程は選べないのに、生まれ月によって入園の可能性が変わってしまうのは不公平ですよね」

 埼玉県朝霞市に住む製造業の斎藤洋子さん(37=仮名)は「これからが不安です」とこぼす。5年前に保活で苦労した。その子どもも今年、小学生になった。

「保活をクリアしても今度は学童問題があります。母親にとって、小学校のほうが働きにくいかもしれない」

 斎藤さんの会社は、子どもが病気のときの有休休暇が小学生に上がると取得できなくなる。時短勤務もなくなり、残業規制も消える。

 保育園は台風でも大雪でもやってくれていたが、小学校は休みになることもあり、学級閉鎖もある。そもそも保育園より登校時間が遅く、出勤に間に合わない。

「学童は8時から、私の仕事も8時から。その時点で遅刻です」

 斎藤さんは苦笑いする。5年生になると放課後児童クラブ(学童保育)の枠からはずれ、利用不能に。

「定期を買い与えて、数駅先の実家に電車で帰ってもらうしかないかな……なんて思っていますよ」

 壮絶な保活を乗り越えてもまだ続く子育てと仕事の両立問題。「女性の活躍」というならば、子育てをしながら働く環境を早急に整えるべきではないか。

取材・文/吉田千亜