「要支援1・2の利用者が40名ほどいますが、1年かけて、今までどおり介護保険サービスの枠内に該当すると認められた方は3、4人だけ。入浴が困難など身体介助を必要とするケースのみで非常に少ない。それ以外の方は、総合事業へ移行することになりました」(服部さん)
従来に比べ“緩和した基準による訪問型サービス”を受けることに変わった。
「ヘルパーが利用者のもとへ訪問し、一緒に掃除や調理などを行う『生活援助』が1回1時間以上から45分以上に短縮され、事業所に入る介護報酬の単価もかなり下がりました」(服部さん)
それでもサービスの質を下げるわけにはいかない。時間が減ってもケアの内容は変えなかったので「事業所の負担が増しています」と服部さん。
また、コスモス国立で最年少ヘルパーの佐伯さやかさん(27)はこう気にかける。
「総合事業になって利用者と話す時間が減った。困り事や体調を尋ねるときも、作業しながらでないと時間内に終わらない。(利用者は)もっとお話ししたいんじゃないかな」
さらに国立市では、一定の研修受講を条件に、無資格者による生活援助も計画。
「生活援助は単なる家事代行ではありません。ヘルパーが利用者とコミュニケーションをとりながら、一緒に掃除や調理をすることで健康状態を観察し、介護状態になることや病気の悪化を予防する。
つまり自立支援が趣旨。要支援1・2には軽度の認知症を持つ方も少なくない。ヘルパーとしての専門知識と経験に裏打ちされたスキルがなければ、とうてい対応できません」(服部さん)
同市は昨年4月から総合事業への移行を始めたが、市の健康福祉部によれば、研修の内容・期間ともに依然定まっていないという。
「住民一体となって高齢者を支えていこうという理念はわかりますが、それは表向きで、実際は予算の削減が大命題。 利用者にしてみれば、どこの誰か、どういう経歴かわからない人を家に入れることになりますし、研修を受けた人を所属させて派遣するとなると、事業所としての責任も生じる。リスク管理を考えると怖くてできないですね」(服部さん)