安保関連法に反対するママの会は14日午後、東京・永田町の参院議員会館で記者会見し、3月末に施行された安保関連法の廃止を求めて声を上げ続けていくとする声明文を発表した。

「昨年7月にたったひとりのママの呼びかけから始まった『安保関連法に反対するママの会』は、ついに47都道府県に広がりました。現在全国100か所以上で“だれの子どもも殺させない”を合言葉にたくさんのママが活動しています」

 賛同するママ友が増え、全国に組織が拡大したことも明かした。発起人の西郷南海子さん(28)は声明に続けて、

「私たちは安保関連法の成立も施行も認めていません。安倍首相、憲法を踏みにじるのはもういいかげんにしてください」などと訴えた。

 ママの会は、デタラメがまかり通る政界だけでなく、それに便乗する財界にも目を向けた。同日午前、大手企業など1329社が会員に連なる日本経済団体連合会(経団連)を訪問した。

 経団連は昨年9月、武器などの輸出を国家戦略として推進すべきとする『防衛産業政策の実行に向けた提言』を発表しており、この提言撤回を求める要請書を手渡すためだった。しかし、受付で受け取りを拒まれた。

「武器輸出は間違っています。輸出した武器の先にいるのが自分の子どもではないだけであって、金儲けのために世界の子どもたちの命が奪われていくのは見ていられません」(西郷さん)

 各地のママの会から託された要請書は郵送し、対話に向けて交渉を続けたいという。

「法案成立の直前、自民党に反対メッセージを届けようとしたときは敷地内にすら入れてもらえませんでした。今回は受付までは通してくれたから一歩前進です」(西郷さん)

 経団連は受け取り拒否について、「受付での手渡しはお断りしている。郵送してくれれば受け取りますし、内容も見ずに捨てるようなことはしない」(総務本部)と話した。

 会見には22都府県の代表が参加した。社民党の福島瑞穂副党首が激励に訪れたほか、子どもが会見場を走り回るなどにぎやかだった。遠方のママは早起きして上京。それぞれの子育て事情は異なるが、決してヒマなわけではない。

 香川県の堀尾崇子さん(49)は、「子どもたちを起こすだけ起こして“夜には帰ってくるから無事でいてね”と願いながら朝6時半に家を出ました。活動内容や有効なアピール方法などを情報交換できて有意義でした」とにっこり。

「6歳の長男が歯を抜く日だったので、大変な日にお母さんがいなくてゴメンねって思い、小さなカードに“がんばってね”と書き置きし、上の子だけだと下の子がグズるので2枚書いてから、早朝の飛行機に飛び乗りました」

 福岡県の宮下彩さん(37)はそう話し、ママ友の笑いを誘った。

 ママの会は5月5日から8日までを「だれの子どもも ころさせない」ウイークとし、各地でパレードや街頭スピーチ、ピクニックイベントなどを予定している。

 東京では5日に新宿ジャックをする。動員目標は昨夏に渋谷ジャックで集めた2000人という。