同じ時代にかけられた1万本の橋も、傷み方はそれぞれ。そこを見極めて、
「特に危なそうなところを集中的にやります。優先順位をつけて、人があまり通らない橋などは後回しにする。そういう基準を考えなければならないですね」(根本教授)
前出の府領第一橋も、本来の計画では、平成26年までに修繕が完了している予定だったという。
「本体のひび割れが発見されたので、平成22年ぐらいには修繕の計画が出されていましたが、予算がつかずに実際にはできなかった」(根本教授)
避難所になる学校も一気に老朽化のピークを迎える
学校や市役所、公共施設も、老朽化の波は避けられない。
「高度成長期のピーク時は、年間3000校作っていた。これから一気に老朽化のピークが来る」という学校は、いざという時の避難所になる。
熊本地震では、耐震補強をしていたにもかかわらず金属のボルトが落下し、使用不可となった体育館があった。老朽化のためだ。少子化の現実を踏まえ、統廃合を進めながらも「早めに作り替えていく」必要があると根本教授。
いちばん後回しにされがちなのが市庁舎だ。
「市役所が機能しないと罹災証明も取れない。熊本地震でも、宇土市庁舎をはじめ4つぐらいの庁舎が使用停止になりました」(根本教授)
古くなった学校や橋や公共施設などが、日本じゅうの不安になっていることを国も承知している。
平成28年度だけで7985億円が『国土強靭化計画』の老朽化対策として計上されているが、「今あるインフラを今後も継続するには、9兆円が必要」と、かかるお金はケタ違い。これまでと同じように、ではいかない時代……。
「箱ものを思い切って減らす必要がある。例えば、図書館や公民館は、学校の空き教室を使って、機能を集約する。何を諦めるか、何を我慢するか。住民側がしっかりと考えて決めていく時期に来ています」(根本教授)