■最近深刻なのは、母娘の共依存
ケアやお世話をすることで気持ちよさを感じるので、お世話する側はそのケアがやめられなくなっていくのが共依存の特徴のひとつだが、
「依存される側の力をどんどん奪っていき、最後は生きる力さえも奪うので、依存される側にとっては生死にかかわる問題になることも」
しかも世話をする側は「よかれ」と思ってやっている意識が強いのも厄介だ。
「特に最近深刻なのは、母娘の共依存です。家事が楽になって、時間もお金もある、そんな世代の母親がなかなか娘を手放そうとしないのです」
娘が30代や40代になっても、自分に日々起こったことを娘に報告し、娘の生活に介入し、さらに老後のお世話もしてもらおうという母親が後を絶たないそう。その原因は寂しさや不安、満たされない思いなどから来ているが、依存される娘のほうはたまったものではない。
「自分の人生を母親によって拘束されていると感じたら、家を出て独立するなど、できるだけ母親との関係を断つことです。専門家に相談するのもいいでしょう」
これはどんな共依存の関係にも言えることだそう。依存する側は、
「相手のお世話をすることが愛情=いいことだと思い込んでいますから、依存されている側から距離を置くのが何よりの対策です」
また、自分が何かしらの人間関係上でケアやお世話をする側になったときに、共依存に陥らないように注意することも必要だ。
「自覚がないうちに依存してしまい、相手を傷つけたりしないよう、まずは相手にどうしてほしいか聞くことも大事ですね。そして、大前提として本音を言ってくれないような相手のお世話やケアはしないことです」
時代によって、形を変えてあらわれる共依存の問題。
明日はわが身とならないように、自分がどう生きていきたいか“個”として考えておくのはもちろん、人間関係についても相手を慮る気持ちを忘れないようにしたい。