『営業部長 吉良奈津子』:フジテレビによる女優のための"接待ドラマ"
松嶋菜々子が3年ぶりに連ドラ主演する『営業部長 吉良奈津子』(フジ系)は、初回10・2%という期待はずれ。
「広告代理店の花形クリエイティブディレクターだった松嶋が、産休後に売り上げ不振の営業部の部長にされてしまうという話で、なんと3年も産休してたという浮世離れした設定にビックリ。
働く母の話なのか、広告業界の話なのか、不気味なベビーシッターが絡むサスペンスを描きたいのか、どれもこれも中途半端で消化不良。
松嶋は高級なお召し物を身にまとい、感情移入も全然見えないままの女王様演技。昔、世話になった女優をチヤホヤして気に入るように撮影するだけの"接待ドラマ"を見せられる視聴者はたまったものではないです。
フジは今クールの"土ドラ"は安田成美、8月13日スタートの『ノンママ白書』では鈴木保奈美・菊池桃子と、深夜に時期をずらして目立たぬようにこっそり接待。そんなにコソコソやるくらいなら作るなよ、と言いたいです。
なぜ作られるのかといえば、剛力彩芽の『グ・ラ・メ!〜総理の料理番〜』(テレ朝系)。どんなに低数字でも、懲りずに制作が続くゴリさんドラマと視聴者の戦いはもはや根比べの域に……」
日曜夜の三つ巴の戦いは、フタを開けてみれば、寺尾聰の『仰げば尊し』(TBS系)が一歩リード。
「裏番組がヒドいので消去法での勝利かと。寺尾のイイ人キャラは主役感に乏しいし、弱小吹奏楽部が全国大会へ行く話なのに練習シーンはお飾り程度でドラマとしての吸引力に欠ける。
『ごくせん』が始まったかと思うような村上虹郎と真剣佑らのヤンキーとの絡みばっかり。初回冒頭に寺尾が亡くなっているのを匂わせる描写があったので、後半は難病モノのお涙ちょうだいの予感大。結局、音楽のシーンは少ないままで終わりそう。
藤原竜也の『そして、誰もいなくなった』(日テレ系)は海外の映画やドラマの描写・設定をいろいろと拝借しまくり。そのわりには稚拙な展開で大風呂敷を広げるだけ広げ、説得力あるオチが用意されている予感は皆無。寂しい数字とタイトルが見事にリンクするという皮肉な結果に」
そして、今期のワーストは『HOPE~期待ゼロの新入社員』(フジ系)に決定!
「舞台になっている一流商社の描き方のありえなさ、橋田壽賀子が考えたような年寄り目線の若者像。あれだけ叩かれたというのに懲りずに韓流ドラマを原作に持ってきて結果、大コケと、目に映るすべてが今のフジを象徴するような負の連鎖でした……」