2020年の東京五輪が開催できるのか心配

 政府が「30年以内に70%の確率で発生する」とした南海トラフ地震。政府による発生予想によると、震源域は東海、西日本、四国を中心に約14万㎢に及び、最悪の場合、全国で死者数約32万3000人、津波高は34メートル(高知県)を記録する場合もあるという。

 これだけでも未曾有の大惨事だ。だが立命館大学の高橋学教授は、さらに広い範囲、フィリピン、台湾、沖縄、西日本、東京まで動くスーパー南海トラフ地震が「すでに動き始めているとみてもいい」と指摘する。

 政府の予想範囲をさらに縮め、「私は5年以内に来ると見ています。2020年の東京五輪は本当に開催できるのか心配でなりませんね」と表情を曇らせる。

「海に面した1%が津波被害を受けるとすると、スーパー南海トラフ地震の場合、津波だけで46万~47万人の被害者が出る想定になる。関東ですと東京の下町から群馬の館林あたりまで水が入るでしょう。規模としてはM9クラスでもおかしくない」

 8月15日に、愛媛・伊方原発が再稼働したばかりだが、高橋教授は「明らかに間違い」とバッサリ斬る。

「伊方原発から約5キロ北の沖合には国内最長の活断層帯『中央構造線』が通っており、南には南海トラフ巨大地震の震源域があります。広範な被害を及ぼすおそれが高い」(高橋教授)

内閣府の発表をもとに本誌作成。棒グラフは南海トラフ地震による予想合計死者数、折れ線グラフは予想最大津波高を示す。数値は複数の被害想定のうち、各都道府県の最大値を記載。よって例えば死者数の合算は、最悪になるケースの32万3000人を超える