育児の現場には喜びがたくさん
ケロポンズのふたりは、ともに大学卒業後、幼稚園教諭として数年間働いていた過去を持つ。ケロさんは当時の経験が、今に生きていると振り返る。
「私の勤めていた幼稚園は、子どもたちを画一的にまとめて保育する傾向が強かった。 子どもたちは十人十色で、それぞれの育て方や可能性があるはず。息苦しさを感じ、思い悩んでしまって……。それで音楽や表現を通じて、子どもたちや保育の現場に還元したいと発起し、音楽活動を始めたんです」(ケロ)
「子どものためにという思いは一緒なはず。でも、園によってアプローチやコンセプトが違うから、自分のやりたいことが実現できない先生もいると思う」(ポン)
「私自身、悩みすぎて当時は暗くなっちゃった(苦笑)。子どもたちは大人の比ではないほどパワーを持っている。子どもたちに囲まれているんだから、子どもたちからパワーをもらって、寄り添うことが大事だなって。ラブ&ハグの気持ちをいつも心に抱いていてほしいなぁ」(ケロ)
待機児童問題、モンスターペアレントなどなど、何かとネガティブな話題でフォーカスがあたることの多い保育の現場。先ほどの保育園の先生は、「ポジティブな話題を保育界にもたらしてくれたケロポンズの存在に勇気づけられる」とも。
「そう言ってもらえると本当にうれしい! ケロポンズ結成以前から、私たちは個々に子ども向け音楽活動をしていました。そのときのお母さんが今はおばあちゃんになって孫と一緒に『エビカニクス』を踊っています。保育や育児の現場は人間が成長していく過程に携われるからこそ、喜びもひとしお。明るい話題がたくさんあるんです」(ケロ)
ということは、ケロポンズのコンサートに行けば、家族が円満になれる!?
「家族だれでも楽しめるのが、私たちのライブのいいところだって自負しています。一緒に踊って、一緒に思い出を共有するのは、子どものためにもいいこと!」(ポン)
「今は子どもたちに知られた存在だけど、ひいてはお子さんのいない方や、ご高齢の方にも喜んでほしい。各国語バージョンの『エビカニクス』も作成したことだし、世界中で歌って踊ってほしいですね」(ケロ)
『エビカニクス』が世間を席巻する曲になる日も、あながち夢じゃないかも!?
<プロフィール>
◎ケロポンズ
1999年結成、増田裕子(ケロ)と平田明子(ポン)からなるミュージック・ユニット。あそび歌や体操の作詞、作曲、振り付けを手がけ、親子コンサートや、保育士・幼稚園の先生を対象にした保育セミナーなど多数出演。2008年より『おかあさんといっしょ』(NHK)に楽曲提供、2009年より『それいけ!アンパンマンくらぶ』(BS日テレ)で準レギュラーを務めるなど、多岐にわたるメディアで活動中。